2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13024231
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
浪越 通夫 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30189196)
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Keywords | キヒトデ / 自切 / 自切促進因子 / APF / 神経系 / 体腔液 |
Research Abstract |
我々が本研究に着手するまでは日本のヒトデ類の自切に関する化学的な研究は行われていなかった。そこでまず、青森県陸奥湾および東京湾のキヒトデ(マヒトデ)を材料生物に選び、人為的な自切の誘導と生物検定法の構築、自切の過程の観察、自切誘導因子(APF)を放出する体の部位の検索、APFの安定性と化学的性状の検討、およびAPFの分離を行った。 オートクレーブバッグにキヒトデを入れ、100℃の熱水に浸して自切させた時に得られる液を、正常なキヒトデの腕に注射すると自切を起こす。正常なキヒトデの体腔液では自切しない。そこで、キヒトデを熱処理したときの液を用いて生物検定法を検討した。その結果、検定用のヒトデをプラスチック製のバットの中央に置き、海水を入れない状態で1本の腕に検定液を注入する方法が再現性も良く、生物検定法として利用できることが分かった。また、幅長が4cm以下のヒトデはほとんど自切せず、5〜10cmのものが最適な被検ヒトデであることを明らかにした。生物検定試験で最も問題となるのは、生殖巣が発達するにつれて自切を起こしにくくなり、生殖時期には殆ど反応しなくなることである。よって、キヒトデを用いた生物検定試験は、5月から10月の間でのみ行なえることが分かった。 東京湾のキヒトデをオートクレーブバッグに入れ、76℃の熱水に浸し、温度を徐々に100℃まで挙げて自切させた。このとき得られた液を遠心分離し、上清を凍結乾燥してAPFを含む固体を得た。これをトヨパールHW-40(0.05%NaCl水溶液で溶出)でカラムクロマトを行い、7つのフラクションに分離した。その結果、1つの溶出ピーク(Fr.6)のみに活性が見られた。Fr.6を各種のODSカラムを用いてHPLCで分析したところ、Cosmosil 5C 18-MSが最も良好な分離を示した。
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