2001 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモン活性化・不活性化機構の分子基盤-ブラシノステロイド生合成・代謝酵素による制御
Project/Area Number |
13024243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
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Keywords | ブラシノステロイド / シトクロムP450 / バキュロウイルス |
Research Abstract |
1.研究の目的:本研究では、BR活性化/不活性化に関与するP450酵素を単離同定し、その発現制御機構を解析することによりBR分子の作用部位における経時的消長を遺伝子、酵素レベルで解析しBRの生理機能の分子基盤を解明することを目的とする。 2 今年度の結果:今年度は、BR不活性化に関わるP450を酵素化学的に解析することを中心として実験を行った。シロイヌナズナ由来のBAS1(CYP72B1)、CHIBI2(CYP72C1)を過剰発現させた植物は矮性になることが報告されており、これらP450がBRを不活性化する可能性が示唆されているがその酵素活性は未だ不明である。そこでトマトからBAS1ホモログである新規CYP72B2および72B3の全長cDNAを単離した。72B3はBAS1とアミノ酸レベルで75%相同であり同じ活性を持つことが期待される。一方、72B2はBAS1および72B3に対して60%しか相同性を示さないことから、異なる酵素活性をもつことが示唆された。72B2遺伝子はトマトをBR処理すると発現が誘導し、一方BR生合成阻害剤で処理すると発現が減少した。72B2cDNAをタバコで過剰発現させたところ矮性表現型を示したことから、72B2もBRを不活性化すると考えられた。そこで、72B2の組み替え酵素を昆虫細胞ムバキュロウイルス発現系により作製し、酵素活性の同定を試みた。72B2の基質および生成物は不明であるので、BR生合成中間体を用いて組み替え酵素との基質結合アッセイを行った。72B2はカスタステロンに対して強い親和性(6μM)を示したが、一方、活性型ブラシノライドはそれよりも弱くしか結合しなかった。トマトではブラシノライドは全く検出されずカスタステロンが主要な活性型BRであることと良く一致している。現在、GG-MSを利用して72B2を過剰発現して矮性になった組み換えタバコの内生BR含量の定量を行うと共に、72B2組み換え酵素の活性同定、生成物の構造決定を進めている。同様に、シロイヌナズナBAS1、CHIBI2およびトマト72B3の酵素活性を同定するため、これらP450の組み替え酵素の発現も進めている。BRを不活性化するP450の基質特異性、反応特異性を詳しく解析することにより、植物体内でのBRレベルの調節機構を分子レベルで解明することが期待できる。
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