2002 Fiscal Year Annual Research Report
液晶NMR法におけるキラル液晶系の利用と天然分子の絶対構造決定の開発
Project/Area Number |
13024251
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 英明 大阪大学, 医学部, 教授 (90107102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 眞喜子 神戸薬科大学, 薬学部, 助教授 (00098500)
木村 敦臣 大阪大学, 医学部, 助手 (70303972)
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Keywords | 光学異性体 / NMR / キラル液晶 / 光学純度 / 絶対構造決定 / 直接結合定数 / ウニコナゾール / ジニコナゾール |
Research Abstract |
本研究では、キラル液晶NMR法について、実際の適用からその問題点の整理を行い汎用性を高めると共に、絶対構造決定法の提案を行うことが目的である。 光学異性体で活性が異なるトリアゾール系化合物として、ウニコナゾール(I)およびジニコナゾール(II)が知られている。植物生長調節剤としてはS体が、殺菌剤としてはR体の方がはるかに強い作用を示す。これらについて、構造および配向の違いを明らかとし活性相関を調べる目的でキラル液晶NMR法の適用を行った。これらの光学異性体は、化学シフト異方性の差によって分離観測が可能であった(第40回NMR討論会(2001))。さらに、二次元NMRを利用して直接結合定数の測定を行い、異性体の構造や配向の違いを考察し、絶対構造決定の可能性を探った。得られた分子の配向は、I-SとII-Rでわずかながら9C-9Hと7C-7H結合に差が見られ、これらは配向主軸であるz'軸から見た場合、対称に位置していた。これは、7C-7Hの直接結合定数の符号が逆であることからも予想された結果であるが、IとIIの立体構造の違いに起因する配向性の差異を反映していると思われた。結論的には、著者らの提唱するMAS/NMAS液晶NMR法を適用することにより、絶対構造決定の可能性が期待できた。 最後に、直接結合定数の測定により光学異性体の分離が可能となる例がいくつか認められたが、α-ピネンについて、絶対構造決定の可能性が高いことを確認し、現在絶対構造決定法として提案すべく準備を進めている(平成15年3月米国ENC学会発表予定)。
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