2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質の人体汚染における生殖機能や次世代に対する影響
Project/Area Number |
13027210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
森 千里 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90174375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 久夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (30233505)
外山 芳郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70009637)
小宮山 政敏 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (70175339)
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70187970)
磯野 協一 千葉大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90323435)
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Keywords | 遺伝子 / 環境 / 生体機能利用 / 発生分化 / マイクロアレイ / 内分泌攪乱物質 / 精子形成 / 胎児曝露 |
Research Abstract |
臍帯および臍帯血に含まれる化学物質の測定により、日本人胎児はダイオキシンやPCBを初めとする各種の化学物質に複合汚染されていることが判明した。ある種の蓄積性化学物質が高濃度に検出される場合、その他の蓄積性化学物質も高濃度に検出される傾向がみられ、さらに蓄積性化学物質の濃度は第2子以降より第1子において高く、また第1子においては母親の年齢が高いほど高濃度に検出されることが明らかになった。 内分泌撹乱物質曝露によってマウスの精巣および精巣上体において発現変化する遺伝子を、サブトラクション法によりそれぞれ数種ずつ同定することができた。またcDNAマイクロアレイを用いた検討によっても、ジェチルスチルベストロール(DES)、ビスフェノールA(BPA)、ゲニステイン(Gen)への新生仔期曝露により成熟後の精巣において発現変化する遺伝子をそれぞれ数種〜数十種同定することができた。クラスター解析によりDESとGenによる遺伝子発現変化パターンは類似するが、BPAによる変化パターンは大きく異なることが明らかになり、遺伝子発現に及ぼす影響の面から化学物質の分類が可能であること、エストロゲン活性を有する化学物質であっても作用メカニズムは異なる可能性が示唆された。遺伝子発現変化を新生仔期曝露から3ヶ月間に渡って経時的に追及すると、ある種の遺伝子は全期間に渡って高レベルで発現しており、リスク評価用のバィオマーカー候補になるのではないかと考えられた。これらを踏まえて、内分泌撹乱物質影響評価用および精巣上体用のマイクロアレイを作製したので、今後はそれらを用いてバイオマーカーの検索を進める予定である。 さらにヒト臍帯において、薬物代謝酵素の発現をmRNAおよび蛋白質レベルで検出することに成功した。臍帯を用いた予測的リスク評価の実現に向けて、今後さらにマイクロアレイによる解析を進める予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Publications] 森 千里: "環境ホルモン〜ヒトへの影響と対策の方向性"Journal of Endocrine Disruptor. 1. 203-212 (2001)
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[Publications] 足達 哲也: "植物エストロゲンおよび内分泌撹乱物質の精子形成への影響評価に対するDNAマイクロアレイを用いた判定法の開発"千葉医学雑誌. 77. 151-158 (2001)
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[Publications] Mori, Chisato: "Possible effects of endocrine disruptors on male reproductive function"Acta Anatomica Nipponica. 76. 361-368 (2001)
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[Publications] Shibayama, Takako: "Neonatal exposure to genistein reduces expression of estrogen receptor alpha and androgen receptor in testes of adult mice"Endocrine Journal. 48. 655-663 (2001)
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[Publications] Toyama, Yoshiro: "Neonatally administered diethylstilbestrol retards the development of the blood-testis barrier in the rat"Journal of Andrology. 22. 413-423 (2001)
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[Publications] Toyama, Yoshiro: "β-Estradiol 3-benzoate affects spermatogenesis in the adult mouse"Molecular and Cellular Endocrinology. 178. 161-168 (2001)
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[Publications] 森 千里: "内分泌撹乱物質の次世代や男性生殖器への影響とその評価に関する新しい試み"最新医学. 57. 236-242 (2002)
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[Publications] Mori, Chisato: "Temporal changes in testis-weight during the last 50 years in Japan"Anatomical Science International. (In press). (2002)
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[Publications] 小宮山 政敏: "胎児複合曝露の影響評価"医学のあゆみ. 201(印刷中). (2002)
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[Publications] Takano, Kaiya: "Alteration of androgen receptor immunoexpression by neonatal DES-treatment in mouse"Congenital Anomalies. 42(In press). (2002)
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[Publications] Rockett, J.C.: "The effects of hyperthermia on spermatogenesis, apoptosis, gene expression and fertility in adult male mice"Biology of Reproduction. 65. 229-239 (2001)
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[Publications] 森 千里: "新女性医学体系 11 リプロダクティブヘルス 妊孕性に関わる諸問題 環境因子と生殖"中山書店. 15 (2001)
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[Publications] Komiyama, Masatoshi: "Analysis of toxicogenomic response to endocrine disruptors in the mouse tesits. In : Toxicogenomics"Springer-Verlag (In press). (2002)