2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌角攪乱物質のヒトへの影響を外挿するためのサルを用いた分子的疫学的リスク評価
Project/Area Number |
13027240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淺岡 一雄 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10089138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 邦夫 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (60158623)
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Keywords | 内分泌攪乱 / サル動物モデル / ヒトへの外挿 / DNAチップ / cDNAライブラリー / 胎児移行 / 脳 / 発現遺伝子 |
Research Abstract |
内分泌攪乱物質のヒトへの影響を外挿するためにサルを用いて分子的疫学的にリスク評価を行うことは、サルの代謝機構がヒトに極めて近い特徴のためヒトの生体リスクを外挿するうえで大変有用である。これまでにサルを用いて内分泌攪乱物質の汚染調査、体内動態、胎児移行など広範囲の研究をおこなった。これらの結果は内分泌攪乱物質の汚染が進んだ現状に予防的対処をする際に有効な判断の根拠となった。 今年度は引き続き国内外の疫学研究のためタイ、インドネシア、ベトナム、韓国と日本のサルやヒトの内分泌攪乱物質による汚染と疾病の調査をおこない、乳児用粉ミルクのフタル酸エステルによる汚染度について報告した(矢野その他、日本化学会第82秋季年会)。環境ホルモンの胎児移行について研究したところ、ビスフェノールAはサル胎児の脳を含む多くの器官に移行した。霊長類における妊娠後期の胎盤が完成された時期においても内分泌攪乱物質の胎児移行の危険があることが解明された(K.Uchida, et al. Jurnal of Health Science、2002)。 これまでサルへの影響をみるのに薬物代謝系の遺伝子発現の変動を調べてきたが感度のよいものであった。このため今年度は更に多くの遺伝子について評価系の構築を計るため胎児を含めていくつかのcDNAライブラリーを作成して検討したところ多数の独立クローンが得られた。このなかには薬物代謝酵素、ホルモンレセプター、転写因子、DNA修復、細胞の分裂やアポトーシス因子など有用なものがあった。これらの塩基配列決定およびDNAチップの試作を進めて内分泌攪乱物質の影響を網羅的に評価する基盤を研究した(飯田その他、第5回環境ホルモン学会、2002)。 内分泌攪乱物質ダイオキシンのサルへの曝露を行った器官を採取して遺伝子の発現を調べたところCYP1A1その他の遺伝子発現に攪乱が生じていて器官の障害から健康被害を受けやすい下地が形成されると推測された(浅岡その他、第5回環境ホルモン学会、2002)。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Hichiya: "Complementary DNA cloning and characterization of cytochrome P450 2D29 from Japanese monkey liver"Boichemical Pharmacology. 64. 1101-1110 (2002)
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[Publications] K.Uchida: "Bisphenol-A administration during pregnancy results in fetal exposure in mice and monkeys"Journal of Health Science. 48. 579-582 (2002)