2002 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌攪乱物質への大気経由曝露モデルの構築と曝露量評価
Project/Area Number |
13027244
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米田 稔 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40182852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩平 京都大学, エネルギー科学研究科, 助手 (10263154)
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Keywords | DEHP / MEHP / PBPKモデル / 吸入摂取 / 経口摂取 / 尿中濃度 / シミュレーション / 体内動態 |
Research Abstract |
Deborah A.Keysはラットにおいて経口摂取、静脈内注入させたDEHPとMEHPの体内動態評価を行うためにPBPKモデルを提案した。しかしこのモデルでは、大気中に放出されたDEHPの吸入、尿・糞排泄は考慮されていなかった。本研究は、Deborah A.Keysのモデルを基本として、DEHPの吸入摂取および尿・糞排泄を考慮したDEHPおよびMEHPのヒト体内動態を評価するモデルの構築を試みた。 吸入摂取を考慮するため、Deborah A.Keysのモデルに新たに追加したコンパートメントは肺と肺血流であり、尿排泄には腎臓、糞排泄には胃腸管を追加した。このモデルの下、物質収支に則り、本研究に用いるPBPKモデルの連立微分方程式を構成した。これらの方程式に含まれる数々の生理学的パラメータの値は、1)文献からの引用、2)Deborah A.Keysのモデルから組織重量など種差を考慮して外挿、3)半減期や排泄割合から推測の3つの方法によって設定した。体内濃度シミュレーションを実施した結果、経口摂取のみの場合に比べ、吸入摂取のみの場合の方がDEHPの体内蓄積性が大きいことがわかった。 経口摂取と吸入摂取の両方を複合的に評価するため、実際の日常生活中における曝露条件を設定することで総合的なおおよその曝露量を試算し、日常生活中での体内動態を把握することを試みた。尿中に排泄されているMEHPの量を把握し、実測された尿中MEHP濃度と比較し、本研究で構築したPBPKモデルの妥当性を検討した。その結果は、実測データと比較的良く一致していた。よって、本研究で構築したPBPKモデルは吸入摂取を含め、大まかな体内動態を把握できると判断した。
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