2001 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の持つアンドロジェン様作用の評価法に関する研究
Project/Area Number |
13027288
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30227631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 哲也 国立有明工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教授 (80243921)
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Keywords | 内分泌攪乱物質 / アンドロジェン / cDNAマイクロアレイ / 環境ホルモン / C. elegans |
Research Abstract |
内分泌攪乱作用の中でもアンドロジェン様作用に注目し,線虫において外部からのアンドロジェン作用によって発現が応答する遺伝子をcDNAマイクロアレイを用いて一斉検索を行った.線虫C. elegansをアルカリブリーチ処理し,得られた受精卵を14時間絶食下で孵化させ,L1幼虫に同調した.その後,餌の大腸菌を与え40時間培養し,L2-3期の幼虫まで成長させ,1から1000nMのテストステロンに5時間暴露した.コントロール群および暴露群からmRNAを調製し,それぞれをOligo(dT)をプライマーに逆転写する際Cy3,Cy5でラベルした.得られた標識cDNAを等量混ぜ,線虫cDNAマイクロアレイにハイブリダイズし,各スポットにおける蛍光強度をスキャナーを用いて測定した.コントロールと暴露群の蛍光強度の比から各遺伝子の発現変動を解析した結果,種々濃度のテストステロンへの暴露によって約200個の遺伝子の発現量上昇と数個の遺伝子の発現量の減少が観察できた.それらデータを蓄積し,統計的に有為なデータを抽出し,クラスター解析を行った結果,それぞれの実験における発現量変動パターンから遺伝子をいくつかのグループとして分類することができた.さらに,再現性良くマイクロアレイで遺伝子の発現上昇が観察された遺伝子の変動幅の上位グループの中から,30個について特異的プライマーを構築し,RT-PCRで発現量の変化を半定量したところ,数個の遺伝子はRT-PCRレベルでテストステロン暴露によって遺伝子発現の増加が確認できた.以上の結果から,線虫C. elegansはステロイドホルモンに対して遺伝子レベルで特異的に応答していることが示され,内分泌攪乱作用の評価系におけるモデル生物として適当であり,cDNAマイクロアレイを用いることで応答遺伝子を網羅的に一斉検索できることが示された.
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