2001 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒反応による立体選択的環状アミノ酸合成法の開発
Project/Area Number |
13029005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池田 茂 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (40312417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 文章 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (80176924)
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Keywords | 酸化チタン / 光触媒反応 / 環状アミノ酸 / 立体選択性 / 還元触媒 / 光学活性体 / 酸化還元複合プロセス / 同位体 |
Research Abstract |
酸化チタンなどの半導体を用いる光触媒反応は、酸素の存在下では、これが励起電子と反応して酸化活性種を生じるため、酸化反応が主体となるが、無酸素下では、酸化と還元の両者を利用できる。われわれは、ジアミンを基質とすると、アミノ基の酸化、加水分解、縮合、および還元の複合プロセスがOne-Potで進行し、水溶液中、室温で環状2級アミンが得られることを見いだしている。これを、比較的安価な光学活性原料であるL-(S)-リシンおよびその誘導体に応用すると、ピペコリン酸類を合成できることを報告してきた。本反応は、反応基質の官能基を保護することなく、一段階で目的物が得られる特長がある。本研究では、原料のα位の立体配置を保持した生成物を高選択的に合成することを目的に、酸化チタン光触媒粉末に還元反応の触媒となる遷移金属を担持して立体選択性にあたえる影響を調べ、その制御を試みた。L-(S)-リシンを基質として生成したピペコリン酸の光学純度は、担持金属の種類、量、あるいは担持方法によって変化し、光析出法でロジウムを0.5%担持した酸化チタンをもちいたときに、もっとも高くなった(約75%)。一方、原料リシンの減少量に対するピペコリン酸生成量、すなわち選択率は、光学純度の増大につれ減少する傾向がみられた。α位に窒素の同位体(^<15>N)を含むL-(S)-リシンを基質として反応を行ない、加水分解の段階で生じる副生成物であるアンモニアの中の^<15>Nの存在比を比較すると、多くの触媒で同程度であった。これより、担持する金属の種類や状態を変化させることで、中間体の還元段階での立体選択を制御できることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)