2002 Fiscal Year Annual Research Report
非安定化カルボニルイリドの不斉[3+2]付加環化反応
Project/Area Number |
13029014
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
北條 信 筑波大学, 化学系, 助教授 (50229150)
|
Keywords | マンガン / メチレンテトラヒドロフラン / ジヒドロフラン / 環化 / 触媒 / 求電子剤 / アリル金属 |
Research Abstract |
すでに我々は、4-ペンチン-1-オール類のリチウムアルコキシドに臭化マンガン(II)を作用させることにより環化反応が起こり、2-メチレンテトラヒドロフランおよびジヒドロフラン類が生成することを見つけている。更に、環化反応後に後処理をすることなく続けて炭素求電子反応剤を作用させたところ、含酸素5員環に更に求電子剤由来の炭素骨格が導入された化合物が得られることも見つけた。これらの反応で環化後に生成する中間体は4-ペンチン-1-オール類のアルコキシドの単純な5-exo環化により生成するビニル金属種ではなく、2種類の生成物に求電子剤が導入された位置からアリル金属種と考えられる。このアリル金属種が生成する過程として、アセチレン部がアレンに異性化した後に5-exoまたは5-endc環化により環化し、アリル金属中間体を与える可能性が考えられる。実際にアレニルアルコキシドの反応を同条件下で試みたところ、実質的に同様の生成比で2種類の環化-炭素骨格伸長生成物が得られた。この結果は、アレンへの異性化を経由して反応が進行していることを強く示唆するものである。 これらの反応が、4-ペンチン-1-オール類のリチウムアルコキシドに対して触媒量のマンガン(II)塩存在下に効率よく進行することを見つけた。さらにリチウム以外のアルカリ金属を対カチオンとするアルコキシド類からも同様に環化反応が進行し、続いて求電子反応剤と反応した生成物が得られることを見つけた。 アルコキシドの対カチオンが異なると2種類の生成物の生成比が変化することも見つけ、反応条件も適切に選ぶことにより、両者を作り分けることにも成功した。すなわち、触媒量のマンガン(II)塩の存在下に、ナトリウムアルコキシドは2-メチレンテトラヒドロフランを効率よく与え、カリウムアルコキシドからはジヒドロフラン誘導体が高選択的に生成する。
|
Research Products
(1 results)