2001 Fiscal Year Annual Research Report
三員環多元素化合物チイレンの新規合成法の開発とその化学
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13029016
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中山 重蔵 埼玉大学, 理学部, 教授 (90092022)
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Keywords | チイレン1-オキシド / アセチレン / 二塩化硫黄 / 2,3-ジクロロチイラン / チイレン1-イミド / 環拡大反応 / オキサゾール / チアゾール |
Research Abstract |
本研究は,2π電子構造を有し,最小員数環化合物であるチイレン1-オキシド類の新規合成法を開発することとチイレン1-オキシドの反応性を利用した多元素環状化合物の合成法を開発することを目的に行われた。 嵩高いアルキル基を二つもつアセチレン(1)と二塩化硫黄を塩化メチレン中,室温で反応させると,2,3-ジーアルキル-2,3-ジクロロチイラン(2)が定量的に得られた.未精製の(2)のアルカリ加水分解を室温で行うと,チイレン1-オキシド(3)が68-90%の収率で得られた。すなわち,(3)の簡便合成法を見いだすことができた。 一方,(3)を塩化メチレン中,-78℃で無水トリフルオロメタンスルホン酸と反応させた後,P-トルエンスルホンアミドを加え室温まで昇温すると,α-イミノチオケトン(5)と(4)を59-69%と7-11%の収率で与えた。本反応は,まず(6)が生成し,これが環拡大して1,2-チアゼット(7)となった後,開環して(5)になると考えられる。トルアミドをp-トルエンスルホンアミドの代わりに用いると,予想外の結果が得られた。すなわち,(3)と無水トリフルオロメタンスルホン酸を反応させた後,p-トルアミドを反応させると,65-89%の収率でオキサゾール(8)が得られ,硫黄も生成した。これら反応は,(6)が生成し(7)となった後,N-トルイル-α-イミノチオケトン(9)が生成し,電子環状反応で4,5-エピチオオキサゾール(10)となり,ここから脱硫して(8)が生成する。p-トルアミドの代わりにチオベンズアミドを反応させると,50%の収率でチアゾールが得られた。当初予想したチイレン1-イミド(6)を合成することはできなかったが,多元素環状化合物であるオキサゾールとチアゾールの新規合成法を見いだすことができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Juzo Nakayama: "A convenient synthesis of thiirene 1-oxides"Tetrahedron Letters. 42. 4017-4019 (2001)
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[Publications] Yutaka Ono: "Conversions of Thiirene 1-Oxides to α-Iminothioketones or Oxazoles through Probable Intermediates Sulfilimines"Chemistry Letters. 3. 314-315 (2002)