2001 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒多成分連結反応を用いる高次複素環骨格の新規構築法
Project/Area Number |
13029044
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 健兒 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60023149)
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Keywords | ルテニウム / 均一系触媒 / 環化付加反応 / 複素環化合物 / ピリジン / ピリドン / チオピラン |
Research Abstract |
嵩高いペンタメチルシクロペンタジェニル配位子を有する2価有機ルテニウム錯体、Cp*Ru(cod)Clを用いた、ニトリルと1,6-ジイン類との新規触媒的環化付加反応を開発した。その結果、電子吸引基を持たないニトリルに含まれる、電子的に中性のシアノ基が本触媒反応にはほとんど活性を示さないのに対し、カルボニル基やペンタフルオロフェニル基等の電子吸引性置換基により活性化されたニトリルが、1,6-ジインとの環化付加反応に有効であり、90℃の加熱条件下双環式ピリジンを形成することを見出した。一方、マロノニトリルやフマロニトリルの様な、電子的中性のシアノ基を適度な長さの連結鎖で繋いだジシアニド類が、二つのシアノ基の一方でのみ室温下で効率良く反応し、対応する双環式ピリジンを生成することを明らかにした。 炭素-窒素三重結合に加え、炭素-ヘテロ原子二重結合が触媒的環化付加に用いることができれば、新たな複素環化合物の触媒的合成法の開発に繋がる。そこで、炭素-酸素および炭素-窒素重結合を併せ持つ、イソシアネートをCp*Ru(cod)Cl触媒をもちいて90℃の加熱条件下1,6-ジイン類と反応させたところ、炭素-窒素二重結合で選択的に付加環化し、双環式ピリドンが良好な収率で得られた。一方、炭素-窒素二重結合と炭素-硫黄二重結合を併せ持つ、イソチオシアネートとの反応では、炭素-硫黄二重結合上で環化が進行し、チオピランイミンが得られた。硫黄原子が極めて強く重金属元素に配位することから、有機硫黄化合物は一般に触媒毒となることが知られており、炭素-硫黄二重結合が触媒的環化付加反応に適用されたのは、これが最初の例である。さらに、反応条件を工夫することにより、二硫化炭素も1,6-ジインと環化付加し、ジチオピリドンを得ることに成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Yamamoto, S.Okuda, K.Itoh: "Ruthenium(II)-catalyzed [2+2+2] cycloaddition of 1,6-diynes with electron-deficient nitriles"Chemical Communications. 12. 1102-1103 (2001)
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[Publications] Y.Yamamoto, R.Ogawa, K.Itoh: "Significant Chemo-and Regioselectivities in the Ru(II)-Catalyzed [2+2+2] Cycloaddition of 1,6-Diynes with Dicyanides"Journal of the American Chemical Society. 123・25. 6189-6910 (2001)
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[Publications] Y.Yamamoto, H.Takagishi, K.Itoh: "Ruthenium(II)-Catalyzed Cycloaddition of 1,6-Diynes with Isocyanates Leading to Bicyclic Pyridones"Organic Letters. 3・13. 2117-2119 (2001)
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[Publications] Y.Yamamoto, H.Takagishi, K.Itoh: "Ruthenium-Catalyzed Cycloaddition of 1,6-Diynes with Isothiocyanates and Carbon Disulfide"Journal of the American Chemical Society. 124・1. 28-29 (2002)