2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13029049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅 誠治 京都大学, 工学研究科, 講師 (50291430)
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Keywords | ヘテロ原子化合物 / カチオンプール法 / 炭素カチオン / 電解酸化 / カチオンフロー法 / 炭素活性種 / アシルイミニウムイオン / オキシカルベニウムイオン |
Research Abstract |
電解反応は基礎・応用の両面から幅広く研究が行われ、実践的合成法としても広く利用されている。なかでも、ヘテロ原子を含む化合物を反応基質とした電解酸化反応は、反応性に富むカチオンやラジカル活性種を発生させる手段として極めて有効であり、多岐にわたる合成反応への応用が期待される。 本研究では前年度までに、ヘテロ原子化合物の低温電解酸化による炭素カチオンの創生と蓄積法「カチオンプール法」を用いて反応性に富む炭素カチオンである「N-アシルイミニウムカチオン」および「オキシカルベニウムイオン」を蓄えることに成功し、これらと様々な炭素求核剤の直接カップリング反応に成功している。本年度は、この低温電解酸化をフロー型マイクロ電解セルにより行うことで、連続的な炭素カチオンの発生とこれを用いた炭素-炭素結合形成を行うことを研究の主眼においた(「カチオンフロー法」)。この「カチオンフロー法」においては、電解酸化によって発生させたカチオンを蓄えることなくすぐさま反応に用いることができるため、カチオンとその前駆体が反応してしまうような系においても、また長時間蓄えることの出来ない不安定なカチオンを生じる基質を用いた場合においても反応が可能になる。実際、低温電解酸化のためのフロー型マイクロ電解セルを独自に設計・開発し、炭素・炭素結合形成を行うことに成功した。また、フロー系の利点を活かすことで、複数の基質と求核剤を組み合わせることにより多種のヘテロ環化合物を一挙に得る効率的な液相コンビナトリアル合成をSequentialに行うことも成功した。また、「カチオンプール法」や「カチオンフロー法」を用いて、カルバメートを低温電解酸化することで発生させたN-アシルイミニウムイオンを1電子還元することでラジカル種へと変換し、これを利用した新規なラジカルホモカップリング反応および電子求引性オレフィン類とのカップリング反応を見出した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshida, J., Watanabe, M., Toshioka, H., Imagawa, M., Suga, S.: "Selective Electrochemical Oxidation of Heteroatom Compounds Having Both Silicon and Tin on the Same Carbon as Electroauxiliaries"Journal of Electroanalytical Chemisry. 507. 55-65 (2001)
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[Publications] Suga, S., Okajima, M., Yoshida, J.: "Reaction of Electrogenerated "Iminium Cation Pool" with Organometallic Reagents. Direct Oxidative α-Alkylation and -Arylation of Amine Derivatives"Tetrahedron Letters. 42. 2173-2176 (2001)
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[Publications] Suga, S., Okajima, M., Fujiwara, K., Yoshida, J.: ""Cation Flow" Method. A New Approach to Conventional and Combinatorial Organic Syntheses Using Electrochemical Micro Flow Systems"Journal of the American Chemical Society. 123. 7941-7942 (2001)
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[Publications] Suga, S., Suzuki, S., Yoshida, J.: "Reduction of a "Cation Pool". A New Approach to Radical Mediated C-C Bond Formation"Journal of the American Chemical Society. 124. 30-31 (2002)
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[Publications] 吉田潤一, 管誠治, 鈴木新吉: "カチオンプール法-不安定なカルボカチオンを蓄え、そして反応させる-"現代化学. 7月号. 36-44 (2001)