2002 Fiscal Year Annual Research Report
メタラ環状化合物の効率的発生を鍵とする触媒的結合形成
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13029064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20183626)
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Keywords | メタラ環状化合物 / 触媒的結合形成 / 炭素ー水素結合切断 / 炭素ー炭素結合切断 / パラジウム触媒 / イリジウム触媒 / カップリング反応 |
Research Abstract |
本研究は、不活性な炭素ー水素結合や炭素ー炭素結合の切断を経て生成するメタラ環状化合物を鍵中間体として含む、新規な触媒的結合形成反応の開発を目的としている。これまでに、フェノール類や芳香族カルボニル化合物などの芳香族基質と芳香族ハロゲン化物あるいは不飽和化合物との位置選択的分子間カップリングの反応例をいくつか見出している。この研究の展開として、第三級ベンジルアルコール類とハロゲン化物との反応をパラジウム触媒を用いて検討したところ、sp^2炭素ー水素結合の切断だけでなく、sp^2-sp^3炭素ー炭素結合切断を経るカップリング反応が進行することを新たに見い出し、反応の選択性に及ぼす要因について系統的に調べた。その結果、生成物分布は用いる基質の構造ならびに配位子により大きく変化することがわかった。例えば、2-ビフェニル-2-プロパノールでは炭素ー水素結合切断を経るカップリングが優先して起こる。これに対し、1-ナフチル誘導体では炭素ー炭素結合切断を経る反応が選択的に起こる。これらの反応は、アリール金属種を用いない新たなアリール-アリールカップリング法として利用できる。 次いで、機能性化合物として利用価値の高いアリールチオフェン類の合成法の開発を念頭に、2-チオフェンカルボアミドの反応を検討したところ、過剰量のブロモベンゼンを用いることにより、予期された3,5位だけでなく、脱カルバモイル反応が起こり、2位にもフェニル化が起こり2,3,5-トリフェニルチオフェンが高収率で生成することを見い出した。 さらに、芳香族酸塩化物とアルキンをイリジウム錯体存在下で反応させると、脱カルボニルを伴って容易にメタラ環状化合物が生成すること、ならびに触媒的に1:2カップリング反応が進行し、ナフタレンやアントラセン誘導体が選択的に得られることを見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 三浦 雅博: "Palladium-Catalyzed Multiple Arylation of Thiophenes"J.Am.Chem.Soc.. 124. 5286-5287 (2002)
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[Publications] 三浦 雅博: "Iridiumu-Catalyzed Reaction of Aroyl Chlorides with Internal Alkynes to Produde Substituted Naphthalenes and Anthracenes"J.Am.Chem.Soc.. 124. 12680-12681 (2002)