2001 Fiscal Year Annual Research Report
酸素、窒素、及びシリコンを含む多元素双環状化合物の立体及び位置選択的合成法
Project/Area Number |
13029075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
斎藤 清機 岡山大学, 工学部, 教授 (60033239)
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Keywords | キラルアミノポリオール / 分子内[3+2]環化付加反応 / ニトロン / ビニルシラン / 分子内ディールス・アルダー反応 / ヒドロキサム酸エステル / ジアステレオ選択反応 |
Research Abstract |
アミノポリオールはアミノ糖あるいはアルカロイド類の化学合成原料として極めて重要である。本研究は,アミノポリオールの実用的な合成法へのアプローチを目指して,その基本的な方法論を確立しようとするものであり,分子内ニトロン・アルケン環化付加反応の立体化学制御に関する新戦略とアミノポリオールの実用的合成法の開発という二元目的を有する研究として遂行された。具体的には,アミノポリオールの前駆体をシリコン,窒素,及び酸素原子を含む縮環双環型多元素環状化合物に相関させ,その前駆体は,ビニルシランニトロンの分子内[3+2]環化付加反応によって合成した。更にビニルシランニトロンは,入手容易な光学活性α-あるいはβ-ヒドロキシエステルの水酸基をクロロジフェニルビニルシランシを用いてシリルエーテル化の後,エステル部分の還元によって生成するアルデヒドのニトロンへの変換によって調製した。本分子内[3+2]環化付加反応のジアステレオ選択性及び位置選択性は,その縮環型双環性遷移状態におけるシリコン上のフェニル基,立体中心の置換基の配向,並びにニトロン部分間の立体的相互作用によって制御され,非常に高い値が観測された。このようにして,当初の研究目的をほぼ達成した。特に,キラルなアミノポリオールの新規合成法の確立のみならず,従来の不斉合成法によって供給される多様な化合物の有効利用への道が開かれ,有用物質生産における有機合成の技術的基盤に一層の力量と飛躍を与えたものと考えている。 本研究年度には,ジエン部分とジエノフィル部分をヒドロキサム酸エステル連結型で組み込む新規な分子内ディールス・アルダー反応の開発研究が同時に遂行され,非常に望ましい結果が得られた。これは,窒素と酸素を含む縮環双環型多元素環状遷移状態による反応性と立体化学の同時制御法としてユニークな合成戦略である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Ishikawa, M.Senzaki, R.Kadaya, T.Morimoto, N.Miyake, M.Izawa.S.Saito, H.Kobayashi(T.Ishikawa): "Intramolecular Diels-Alder Reactions Employing Hydroxamate Tethers : The First Example and Promising Prospects"Journal of the American Chemical Society. 213. 4607-4608 (2001)