2002 Fiscal Year Annual Research Report
原子価結合異性化および環化異性化を用いる多元素環状化合物の新規合成法の開発
Project/Area Number |
13029075
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齋藤 清機 岡山大学, 工学部, 教授 (60033239)
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Keywords | イソキサゾリン / 原子価結合異性化 / アジリジン / エン反応型環化異性化 / 鎖状アリルシランオキシム / ニトリルオキシド / 環状ビニルシランオキシム |
Research Abstract |
イソキサゾリンの熱的原子価結合異性化によってアジリジンが生成することは、Baldwinによって1968年に報告された。しかし、この反応が進行するためには基質の構造に厳しい制限があり、その後合成化学的に意味のある反応として展開されたことはない。筆者は、イソキサゾリンの入手の容易さと、アジリジンの合成中間体としての重要性に鑑み、本原子価結合異性化反応の復興に興味を持ち、反応条件の検討を行ったところ幸運にもコバルト錯体によって促進される事実を発見した。その結果、ニトロンとアルキンの環化付加等で得られるイソキサゾリンの2-アシルアジリジンへの異性化反応の実用化レベルの反応条件を確立した。 一方、多元素環状化合物合成の一環として計画したアリルシランオキシムの分子内[3+2]環化付加反応系は、予想に反してエン型反応の生成物と考えられる環状トリメチルシリルメチレンオキシムを単一の異性体として高収率で与えることを見い出した。様々なアリルシランオキシムを調製して反応の一般性を確認した。ただし、アリルシラン部分の二個のsp^2炭素が主鎖に包含された基質では、本反応は進行しないことを確認した。この事実から、立体電子的要請が満足されるような遷移状態を経て、中間体のニトリルオキシド部分を親エン剤とする、前例のない反応と考えられる。双極性の多元素環状遷移状態を経る新規な環化異性化反応が見い出された。今後、生成する環状トリメチルシリルメチレンオキシムの合成中間体としての意義について系統的な検討を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ishikawa, J.Urano, S.Ikeda, Y.Kobayashi, S.Saito (T.Ishikawa): "Novel Ene-like Cycloisomerization Reaction of Nitrile Oxides with a Tethered Allyltrimethylsilyl Group"Angewandte Chemie, International Edition. 41. 1586-1588 (2002)
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[Publications] T.Ishikawa, T.Kudoh, J.Yoshida, A.Yasuhara, S.Manabe, S.Saito (T.Ishikawa): "Dicobalt Octacarbonyl-Promoted Rearrangement 4-Isoxazolines to Acylaziridines: Dramatic Rate Acceleration with Very High Substrate Tolerance"Organic Letters. 4. 1907-1910 (2002)