2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ環縮合シロール類の設計、合成と発光素子材料への応用
Project/Area Number |
13029080
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
九内 淳堯 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029190)
|
Keywords | シロール / ビチオフェン / ケイ素架橋 / σ-π相互作用 / 電子受容性 / 電界発光素子 / 電子輸送材料 / ヘテロ環 |
Research Abstract |
これまでに、ビチオフェンのβ,β'-位をケイ素架橋した構造を持つ、ジチエノシロール(DTS)およびジチエノジシラシクロヘキサジエン(DTD)の合成と特性評価を行い、これらが低いLUMOによる高い電子受容性をもつこと、電界発光(EL)素子の電子輸送材料、電子注入材料として有望であることを見いだしている。 そこでさらに電子輸送能を高めるために2,6-位に各種のπ置換基を有するDTS誘導体を合成し、それらを用いたITO/TPD/Alq/DTS/Ag : Mgで示される構造をもつ3層型EL素子(Type-I)を作成して特性を評価した。比較のためDTSを含まない2層型素子(Type-II)も作成した。Type-I素子の特性はDTS環上のπ置換基の種類により大幅に変わり、最も良い特性を示したのはビス[(トリメチルシリル)ピリジル]DTSであり、電圧-輝度特性、電流-発光効率は単純なビス(トリメチルシリル)DTSの場合ならびにType-II素子よりも大きく向上し、最大16,000cd/m^2の発光を観測した。他方、ビスチエニルDTSの特性が低いのはキャリアトラップサイトが生ずるためであることを見いだした。 より電子輸送性の高い材料を得る目的で電子求引性のトリシアノエテニル基をもつDTSも合成した。この化合物は母体のDTSよりも大幅に低いLUMOをもつことが分かったが、電子輸送材料としては不適であった。エネルギーレベルマッチングが悪いためと推察している。しかし、興味深いことに、その蒸着膜はエタノール蒸気により色が赤から紫に可逆に変化するというべーパークロミズムを示した。また、DTSユニット2ヶを含む誘導体、およびDTD環2ヶが縮環した誘導体も合成して特性を評価した。EL素子特性はモノメリツクな化合物と大差なかったが、ITO上に蒸着した膜を熱処理したあとで素子を組み上げると特性が向上することを見いだした。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Joji Ohshita: "Effects of Conjugated Substituents on the Optical, Electrochemical, and Electron-Transporting Properties of Dithienosiloles"Organometallics. 20(23). 4800-4805 (2001)
-
[Publications] Joji Ohshita: "Synthesis of Novel Bithiophene Derivatives with an Organosilanylene Bridge, and Their Application to Electron-Transporting Materials in EL Devices"J.Organomet.Chem.. 642(1-2). 137-142 (2002)