2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子内不斉ベイリス・ヒルマン反応に基づく高機能複素環状化合物の新合成戦略
Project/Area Number |
13029094
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
畑山 範 長崎大学, 薬学部, 教授 (20143000)
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Keywords | ベイリス・ヒルマン反応 / 触媒的不斉反応 / 複素環化合物 / ラクタシスチン / オキサゾロマイシン / 全合成 |
Research Abstract |
置換ラクタムの新たな一般不斉合成法を開発すると同時に、ラクタシスチン活性体やオキサゾロマイシンに含まれるγ-ラクタムとβ-ラクトンが連結した複素環構造単位構築のための新しい方法論を開拓することを目的に検討を行った。 まず、様々な基質を用い、ω-ホルミルアクリルアミドの分子内不斉ベイリス・ヒルマン反応を詳細に調べた。その結果、N原子上の置換基Rが重要であり、R=H、Me、Bocでは環化反応は進行しなかったが、R=Tsの場合、環化反応が進行し50%以上の収率で環化体が得られてきた。しかし、その光学純度は、今のところ50%ee以下と低く、この点の改善が課題となった。 また、分子間不斉ベイリス・ヒルマンに基づく置換ラクタムの合成についても検討した。その結果、キニジンから誘導した三級アミンを触媒とするN-Boc-アミノアルデヒドとヘキサフルオロイソプロピルアクリラートの反応において、反応時間を長くすると、一旦生成した付加体が環化し、環化体が>95%eeの光学純度で生成することを見いだした。この種のアミノアルデヒドの反応は反応機構面からも興味深く、一連のN-Boc-アミノアルデヒドの反応結果から、N原子上のHがアルデヒドおよびキラルアミン触媒との間の水素結合ネットワークをとおして、反応加速および立体選択性に重要な役割を演じていることがわかった。以上の結果より、Nの隣りに様々な置換基をもつ高度に官能基化されたラクタムの合成が可能となった。 さらに、本計画の最終目的であるラクタシスチンとオキサゾロマイシンの合成について、その基礎となる変換についても、検討を行った。その結果、計画した基本ルートで、ラクタシスチン活性体の高選択的合成を実現できた。
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Research Products
(1 results)