2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13029099
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大船 泰史 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20142078)
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Keywords | 興奮性アミノ酸受容体 / カイニン酸サブタイプ / カイトセファリン / 不斉転写型ストレッカー合成 / α-ヒドロキシメチルグルタミン酸 |
Research Abstract |
興奮性アミノ酸受容体は興奮性シグナルの伝達のみならず、記憶・学習などの高次神経機能の形成に関与し、さらに種々の脳・神経疾患を引き起こす神経興奮毒の中心であることが明らかにされている。特に、イオンチャンネル型受容体群は神経細胞死と関連しているものと推定されており、なかでもカイニン酸サブタイプに注目が集まっている。このサブタイプ受容体には、カイニン酸、ドーモイ酸、アクロメリン酸が代表的なアゴニストである(カイノイドと総称)。また、選択性が低いもののジシアノキノキサリンジオン(CNQX)がこの受容体の唯一のアンタゴニストとして用いられてきた。最近、瀬戸らにより、カイノイドと同様にグルタミン酸の部分構造をもつカイトセファリンが、本受容体に対して高選択的な遮断活性を示すことがわかり注目を集めている。本研究ではカイトセファリンの全合成研究を行い、カイニン酸型受容体の生理機能研究のための手段物質と脳保護薬開発のためのリード物質の開発を行っている。本年度、不斉転写型ストレッカー合成を用いたグルタミン酸のα-位に置換基を導入した光学活性α-ヒドロキシメチルグルタミン酸の効率的かつ大量合成法を開発した。引き続く、本アミノ酸の分子内アミド化は容易にターゲット分子の母核に相当する部分構造を与え、その10g単位の供給も可能になった。なお、最近、新家・瀬戸等および北原等により、ターゲットにおける右側鎖の相対・絶対配置が決定された。その結果、以後の側鎖導入の立体制御に簡明な経路の採用が可能となり、この情報をもとに、右側鎖の立体選択的構築に成功した。今後、L-アラニン由来の求核種のイミニウムイオンへの付加による左側鎖ユニットの導入を試みる。また、側鎖グリシン部位をもたない中間体は、有効なグルタミン酸類縁体の開発の見地からも重要であり併せ合成する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] K.Sakaguchi, H.Suzuki, Y.Ohfune: "Chirality Transferring[3,3]Sigmatropic Rearrangement of(1-Acyloxy-2-alkenyl)trialkylsilane. Synthesis of Optically Active Vinylsilane Containing α-Amino Acid"Chirality. 13. 357-365 (2001)
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[Publications] K.Namba, M.Kawasaki, S.Iwama, I.Takada, M.Izumida, T.Shinada, Y.Ohfune: "Novel and Efficient Transformation of α-Amino Nltrile to α-Imino and α-Amide nitriles in Asymmetric Strecker Synthesis"Tetrahedron Letters. 41. 3733-3736 (2001)
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[Publications] T.Vilaivan, C.Winotapan, T.Shinada, Y.Ohfune: "Indium mediated Barbier-type Allylation of Aldimines in Alcoholic Solvents"Tetrahedron Letters. 41. 9073-9076 (2001)