2002 Fiscal Year Annual Research Report
強相関ソフトマテリアルの動的エントロピー制御とマクロ相分離
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13031010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20332596)
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Keywords | 動的非対称性 / 高分子溶液 / 過渡的ゲル / 分子量依存性 / 粘弾性相分離 / 強相関ソフトマテリアル / マクロ相分離 / 動的エントロピー制御 |
Research Abstract |
粘弾性相分離現象は、高分子溶液系で見出される相分離現象であり、少数相である場合にも高分子リッチ相が連結したネットワーク状の相分離構造を形成する新しい相分離現象である。これまでに我々は、過渡的ゲル化現象が、粘弾性相分離現象に特有のパターン形成において最も重要な役割を果たしていることを示してきた。ところで、通常の相分離現象における発展様式は、しこみの濃度のみで決まる。すなわち、ドロップレット構造における蒸発と凝集、あるいはドロップレット間の衝突と合体という非対称組成における発展と、双連結構造の不安定流体管のモデルによって記述される対称組成付近における構造発展である。しかし高分子溶液系においては、動的非対称性によってもたらされる過渡的ゲルの形成のために、相図における不安定領域での相分離パターンの時間発展は、しこみ濃度では決まらず、通常の2流体混合系とは異なる。そこで、不安定領域内におけるパターン形成過程の動的な特徴の違いから、過渡的ゲルが形成される領域を明確にすることを目的とした研究を行った。実験は、位相差顕微鏡を用い、相分離パターンの時間発展を観測することにより、その構造発展の時空間における特徴を測定した。高分子溶液系としてPS/DEM (polystyrene/diethyl malonate)系を用い、PSの分子量を80万と380万の2種類の系の実験結果について比較した。これにより、相分離の構造発展の特徴に基づいて不安定領域をいくつかの領域に分類し、その境界温度を決定した。このような二つの分子量における相図の特徴は、定性的に一致することが明らかとなった。ただし、分子量の高い380万の相図は、80万のものに比べ境界温度が高く現れる。これらの結果は、分子量をパラメータとして相図をスケールすることにより、分子量に依存しない普遍的な相図が存在するという可能性を示唆している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hajime Tanaka, Tsuyoshi Sonehara: "Superheterodyne light beating spectroscopy for Rayleigh-Brillouin scattering using frequency-tunable lasers"Review of Scientific Instruments. 73・5. 1998-2010 (2002)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Simple view of waterlike anomalies of atomic liquids with directional bonding"Physical Review B. 66・6. 064202 (2002)
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[Publications] Hajime Tanaka, Mamoru Isobe, Jun Yamamoto: "Spontaneous Partitioning of Particles into Cellar Structure in a Membrane System"Physical Review Letters. 89・16. 168303 (2002)
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[Publications] Hajime Tanaka, Takehito Koyama, Takeaki Araki: "Network formation in viscoelastic phase separation"Journal of Physics : Condensed Matter. 15・1. S387-S393 (2003)
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[Publications] Yasutaka Iwashita, Hajime Tanaka: "Optical Manipulation of Defects in a Lyotropic Lamellar Phase"Physical Review Letters. 90・4. 045501 (2003)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Relation between Thermodynamics and Kinetics of Glass-Forming Liquids"Physical Review Letters. 90・5. 055701 (2003)