2003 Fiscal Year Annual Research Report
強相関ソフトマテリアルの動的エントロピー制御とマクロ相分離
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13031010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 武昭 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20332596)
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Keywords | 高分子・液晶混合系 / 相分離ダイナミクス / ネマトハイドロダイナミクス / 数値シミュレーション / 液晶配向秩序 / 強相関ソフトマテリアル / 相分離構造 / 動的エントロピー制御 |
Research Abstract |
高分子・液晶混合系は、相分離と液晶化という二種類の相転移現象が競合した系である。そのため、応用面のみならず学術的にも興味深く、相図などの静的な性質に関しては多くの研究がなされてきたが、その一方で、相分離構造や相分離ダイナミクスに関してはあまり研究がなされてこなかった。そこで、まず液晶相の持つFrank弾性が、相分離構造にどのように影響するかを調べるため、数値シミュレーションを用いて研究を行った。また、実験データを詳しく見ると、液晶の配向場に比べ相分離界面の運動が早いことが分かる。このことから、この系の相分離において流れ場が重要な役割を果たしていることが考えられ、高分子・液晶混合系の相分離ダイナミクスに関して流れ場の効果を導入し、その影響についても調べ、次のことが分かった。 液晶の弾性場は相分離構造に大きく影響し、例えば、マトリックス相の配向場に依存し、三角形や涙形など様々なドメイン構造が形成する。相分離と液晶化の競合により、二種類のスピノーダル分解が起こり得るが、その中でも液晶化が先に起こる場合には、液晶場の配向状態が相分離構造に特に大きく影響する。例えば、磁場などの外場下で相分離が起こると、液晶化が遅れる場合は通常の等方的な相分離パターンが形成するが、液晶化が先に起こる場合には相分離パターンが外場の影響を受け異方的になることが分かった。また、流れ場の影響を調べることにより、流れ場がない場合には、液晶の回転拡散が濃度拡散より早いため、配向場は界面の形状に追従するが、流れ場がある場合には、相分離界面の運動が促進され、相分離構造の発展に遅れて液晶場の再配向が起き、配向場は相分離構造に追従できなくなることが分かった。その結果、例えば、液晶ドロップレットの衝突・合体機構において合体後の配向場は、衝突前の配向場に依存しなくなる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Possible resolution of the Kauzmann paradox in supercooled liquids"Physical Review E. 68・7. 011505 (2003)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Roles of local icosahedral chemical ordering in glass and quasicrystal formation in metallic glass formers"Journal of Physics : Condensed Matter. 15・31. L491-L498 (2003)
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[Publications] Hajime Tanaka: "A new scenario of the apparent fragile-to-strong transition in tetrahedral liquids : water as an example"Journal of Physics : Condensed Matter. 15・45. L703-L711 (2003)
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[Publications] Takeaki Araki, Hajime Tanaka: "Hydrodynamic delocalization of phase separation in a locally cooled fluid mixture"Europhysics Letters. 65・2. 214-220 (2004)
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[Publications] Hajime Tanaka, Rei Kurita, Hirhoshi Mataki: "Liquid-Liquid Transition in the Molecular Liquid Triphenyl Phosphite"Physical Review Letters. 92・2. 025701 (2004)
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[Publications] Hajime Tanaka: "Origin of the excess wing and slow $beta$ relaxation of glass formers : A unified picture of local orientational fluctuations"Physical Review E. 69・2. 021502 (2004)