2002 Fiscal Year Annual Research Report
せん断場下における強相関高分子混合系の空間秩序選択法則の解明
Project/Area Number |
13031041
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 良彰 九州大学, 総合理工学研究院, 助教授 (40188066)
|
Keywords | ブロック共重合体 / 流動誘起配向化 / 中性子小角散乱 / 粘弾性コントラスト / 二様分布 / 合一 / 分裂 |
Research Abstract |
我々は、二成分の粘度がほぼ等しいスチレン-d_8-2-ビニルピリジン2元ブロック共重合体(DP)溶液を用いた定常ずり流動実験によって、ODTから適度にquenchされた秩序状態では、第一法線応力差(N_1)のずり速度依存性が1乗から2乗へと変化するが、ODT近傍ではほとんど変化しないこと、対応する流動下の中性子小角散乱実験から、前者ではずり速度依存性に変化が起きるあたりからミクロドメイン構造の配向の度合いが良くなること、後者ではあまり配向が進まないこと、さらに無秩序状態では濃度揺らぎの抑制のみが起きることなどを報告した。一方スチレン-イソプレン2元ブロック共重合体溶液では、無秩序状態においても定常ずり流動によりミクロ相分離・配向化が起きることが報告されていた。そこで両者の違いをより定量的に比較するために、スチレン-d_8-イソプレン2元ブロック共重合体(DI)溶液のODT近傍でDPとほぼ同一の実験条件で測定した。用いた試料は、組成比が1:1で、分子量約12万、溶媒はフタル酸ジオクチル(DOP)である。 その結果、DIではODT濃度(27.5wt%)より低い、26wt%でもODT濃度より高い27.8wt%から行った場合と同程度の配向を起こすこと、より低濃度でも濃度揺らぎに異方性が存在することがほぼ明らかになった。両者の相互作用パラメータの比較から、DIには格段に広い揺らぎの領域が存在し、さらに成分間の粘弾性コントラストが強いためにこのような違いがおきることが明らかになった。 また、混合系については、ドメインサイズに二様分布のある試料で、分裂と合一がともに起きると考えられる条件で粘度測定と構造観察を行った。今のところ小さなドメインが大きなドメインに吸収される過程が優先的におきているように思われるが、詳細は現在解析中である。
|