圧力勾配を用いた強相関ソフトマテリアルの時空間構造の制御

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13031045
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
• Research Institution: Mie University
• Principal Investigator: 川口 正美 三重大学, 工学部, 助教授 (30093123)
• Keywords: 時空間構造 / ヴィスコスフィンガリング / ヘレ・ショウセル / 圧力勾配 / 強相関ソフトマテリアル / パターン / シア・シニング / シア・シックニング

Research Abstract

液体の時空間構造(パターン)形成の研究にヴィスコスフィンガリングがある。ヴィコスフィンガリングとは、ヘレ・ショウセルと呼ばれる擬似二次元空間に高粘性流体を入れ、そこに低粘性流体を注入して、圧力勾配によって流体界面が指状になって成長する現象を指す。本研究では、分子量20x10^6のポリスチレン-ジオクチチルフタレート(PS-DOP)溶液(シア・シニングを示す)とポリプロピレンオキシドに親水性フュームドシリカを分散したシリカサスペンション(シア・シックニングを示す)の強相関ソフトマテリアルを高粘性流体に用いた。これらソフトマテリアルに空気を注入して形成されるパターンの形態変化や成長速度、並びに低粘性流体によるソフトマテリアルの置換割合などを、ソフトマテリアルのレオロジー特性や界面物性などに関連付けて検討したところ、以下のことが明らかになった。
1 PS-DOP溶液:等方性セルでは先端分岐パターンが観察され、異方性セルではPS濃度の増加と共に先端の尖ったパターンのサイドに振動が現れた。分岐が最初に生ずる圧力勾配は、注入圧に依らずPS溶液の濃度順に減少した。また、パターンが最初に分岐するせん断速度は、PS溶液にシア・シニングが初めて観察されるせん断速度にほぼ等しいことが分った。パターンの成長速度は、セルの種類に依らず修正ダルシー則に従うことが分った。置換割合は修正キャピラリー数1/Bと共に減少し、プラトー値に達した。プラトー値は、異方性セルに比べて等方性セルのほうが小さい。
2 シリカサスペンション:注入圧の増加に伴い、パターンはSaffman-Taylor型、先端分岐、そしてサイド分岐へと変化した。シリカ濃度が増加すると、パターンの成長速度は修正ダルシー則の予測する値に比べて低下した。置換割合は低い1/Bで最大値をとり、1/Bの値と共に減少し、プラトー値に達した。置換割合が最大値となるせん断速度は、シア・シックニングの始まるせん断速度にほぼ等しいことが分った。

Research Products

• [Publications] Masami Kawaguchi: "Viscous fingering in polymeric systems"Nonlinear Analysis. 47. 907-918 (2001)
• [Publications] Masami Kawaguchi: "Anisotropy effects of Hele-Shaw cells on viscous fingering instability in dilute polymer solutions"Physical Review E. 64. 051806-1-051806-3 (2001)