2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13031051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 秀樹 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40165783)
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Keywords | 両親媒性高分子 / 高分子単分子膜 / 高分子ブラシ / 反射率測定 / ナノ構造 / 界面高分子組織体 |
Research Abstract |
シラシクロブタンーメタクリル酸ジブロックコポリマー水面単分子膜のナノ構造をX線反射率および中性子反射率測定により詳細に調査した。その結果、水面上の疎水相と水中の高分子、ブラシ構造の問に、親水鎖が密に詰まった「絨毯」状の層が存在することを見いだした。従来、界面における高分子ブラシは、界面から一様に垂直方向に伸びた構造と考えられており、このような「絨毯」構造の存在は、新たな発見である。ブラシ構造と絨毯構造の有無は、親水鎖長、表面圧、およびpHに大きく依存することも判明した。親水鎖長が十分に短い場合、すべての親水鎖が絨毯構造を形成し、ブラシ構造は形成されなかった。また、親水鎖長が長い場合でも、表面圧が低い場合は、絨毯構造のみ存在することが明らかとなった。さらに、いずれの条件下でも、絨毯構造の厚さは、15-20Åと一定であり、このcritical thicknessの存在が興味深い。 高分子ブラシのナノ構造とダイナミクスをより詳細に調査する目的で、ガラス平板上およびシリカコロイド粒子表面上への高分子の表面グラフト重合を試みた。ラジカル重合の手法を用いて、強酸であるスルホン酸基を有するグラフト高分子の形成に成功したことを、赤外吸収分光法、接触角測定、原子間力顕微鏡、X線反射率測定により確認した。コロイド粒子系に対しては、そのブラシ部分のダイナミクス検出のため、中性子スピンエコー測定を行った。 さらに、新規な界面高分子組織体の創出を目指し、スルホン酸基を有する両親媒性高分子の合成を試み、それに成功すると共に、その特異的性質を調査した。その結果、この新規なポリマーは、気水界面に吸着することなく水中でミセルを形成することが判明し、従来の低分子界面活性物質とは全く異なる性質を有することを発見した。
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[Publications] E.Mouri, K.Matsumoto, H.Matsuoka, H.Yamaoka: "X-ray Reflectivity Study of the Monolayer of Anionic Amphiphilic Carbosilane Block Copolymer on Water Surface"Langmuir. (印刷中).
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[Publications] K.Matsumoto, C.Wahnes, E.Mouri, H.Matsuoka, H.Yamaoka: "Synthesis of Anionic Amphiphilic Carbosilane Block Copolymer : Poly (1,1-Diethylsilacyclobutane-block-Methacrylic Acid)"J. Polym. Sci. A, Polym. Chem.. 39. 86-92 (2001)
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[Publications] 松岡秀樹, 松本幸三: "X線反射率-両親媒性高分子の水面上における二次元組織体の"その場"観察-"日本接着学会誌. 37(3). 124-131 (2001)