2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13031058
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高良 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40324850)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 祥光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (60029874)
|
Keywords | ポルフィリン多量体 / アルキニル鎖 / 拡張パイ電子系 / 光化学 |
Research Abstract |
本研究では、ポルフィリン分子が強く相関した多量体合成の方策を模索し、新奇な光物性、機能の発現を目指した。ポルフィリンのパイ電子共役系を拡張するため、直接連結基としてアルキンユニットを採用し、異なるアルキン架橋鎖長を持つポルフィリンダイマー(ジイニル-、テトライニル-、ヘキサイニル架橋ダイマー)を、系統的に合成した。ヘキサイニル架橋ダイマーは、これまで報告されているアルキン架橋ダイマーの中では最長のヘキサイン架橋を有している。得られたポルフィリンダイマーはMALDI-TOFマス、H NMR、UV/vis吸収スペクトルによりキャラクタライズした。これらダイマーの吸収スペクトルでは、exciton couplingによるSoret帯の分裂およびQ帯の長波長シフトが顕著に観測された。これらの結果は、基底状態でのポルフィリン間の相互作用が比較的大きいことを示唆している。アルキニル鎖の長さによりSoret帯の分裂パターンが変化していることは非常に興味深い。今後はさらに長いアルキニル鎖架橋ダイマーを合成し、エキサイトンカップリングの系統的理解を得ることを目的とする。また、ヘテロダイマーの合成も行う。 また、ポルフィリンを環状4角形型に配置し、ジアセチレンユニットにより連結したサイクリックポルフィリンオリゴマー(CPO)を分子設計し、1)パイ電子共役系の拡張、すなわち、新しい非局在電子系の創出、2)ポルフィリンユニットを利用した合目的的超分子構造の構築と分子設計指針の確立、3)多量化による新たな光物性の発現、を目指し、CPO_sの合理的合成法の開発を行った。亜鉛ポルフィリン環状4量体[Zn4]CPOの合成に成功し、溶液中の挙動、軸配位子を用いた超分子体構築への可能性を検討した。UV/vis吸収スペクトルの結果、ポルフィリンの共役系が大きく拡張していることが明らかとなった。[Zn4]CPOは以前に報告した[Ni4]CPOと比べ分子間のπ-π相互作用が大きく、溶液中でなんらかの会合体を形成している可能性が高い。今後は、亜鉛の空き配位サイトを利用した超分子形成に焦点を当てて研究を進める。
|