2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸素結合過程に強く相関した疎水ポルフィリン組識体の構築
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13031072
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
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Keywords | 疎水的相互作用 / 高分子錯体 / ポルフィリン / 組織体 / ヘモグロビン / 強相関 / ソフトマテリアル / 酸素結合 |
Research Abstract |
本年度は、耐熱性タンパク質に疎水的に包埋したポルフィリン、ポルフィリンとサブパーツからの疎水・水素結合によるポルフィリンキャップの構築で、特に2次結合力の役割と新しい可能性を示す成果が得られた。ポルフィリンの構造および疎水性と組織体生成の相関をその可逆(リサイカブル)性も含め明らかにするとともに、ポルフィリン部への酸素分子の結合・脱着により惹起される組織体の動的変化や、酸素の選択輸送をはじめて観測することを目的としている。 (1)A01班内の共同研究として我々の全合成ポルフィリンを疎水相互作用により、中村(東工大)らの微生物産生の耐熱性のタンパク質キシラナーゼに包埋させポルフィリン組織体を構築した。ポルフィリン周りの疎水環境を明らかにするとともに、生理水溶液、90℃においてもポルフィリンへの酸素結合を観測できた。この手法は全く新しく、また従来類例のない機能を兼ね備えたヘムタンパク質群の創成を可能とするものである。 (2)フェネチルイミダゾールを疎水包接したα-シクロデキストリンはテトラ(2-メチルピリジニウム)ポルフィリンと安定な5配位錯体を生成することを見出した。4つのカチオン基は上面を向き、酸素分子を可逆的に結合できた。 (3)環状の分子サイズと適度な剛さからカリックス[4]アレーンをキャップ枠組みとして選び、アッパーリム側に4つのカルボキシル、エステル、アルコール基をもつ4つの誘導体を、ポルフィリン骨格としては、テトラフェニルポルフィリンの4つのフェニル部をo-アミノフェニル、o-およびm-ピリジルとした3つの誘導体を合成した。アルコール誘導体とo-ピリジル誘導体の組み合わせで最も安定に二分子対を形成した。NMR、IR等から、4点での水素結合により二分子構造体は生成し、ポルフィリン面上に疎水キャップが構成され、適切な酸素分子の結合席となりうることがわかった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] B.Shentu, 他2: "Reduction of Oxygen at an Electrode Modified by Cobaltporphyrin Liquid Membrane"Chem. Lett.. 2002. 712-713 (2002)
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[Publications] K.Oyaizu, 他3: "Electroreduction of Oxygen Enriched in a [poly(ethyleneiniminato)]cobalt(II) Layer"J. Mater. Chem.. 12. 3162-3166 (2002)
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[Publications] H.Shinohara, 他3: "Oxygen-Binding to Simple Cobaltporhyrins Combined with Polyvinylimidazole"Macromol. Symp.. 186. 135-139 (2002)
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[Publications] T.Komatsu, 他5: "Thermostable Synthetic Hemoproteins : Thermophilic Xylanases Hybridized with Dioxygen-Carrying meso-Tetrakis(o-pivalamidophenyl)porphyrinatoiron(II) Derivative"Chem. Lett.. 32. 108-109 (2003)
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[Publications] T.Komatsu, 他3: "meso-Tetrakis[o-(N-methyl) pyridinium]porphyrin Ensembles with Axially Coordinated Cyclodextrin-Penetrating Phenethyoimidazole : Reversible Dioxygen-Binding in Aqueous DMF Solution"Chem. Commun.. 2003. 50-51 (2003)