2001 Fiscal Year Annual Research Report
フェレドキシン依存性酵素とフェレドキシンとの複合体結晶構造解析
Project/Area Number |
13033024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗栖 源嗣 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (90294131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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Keywords | 電子伝達 / 複合体 / 結晶構造 / 植物生理学 |
Research Abstract |
高等植物のフェレドキシン(Fd)は、主に葉緑体中に存在し、活性中心に[2FE-2S]クラスターを持つ分子量約11Kの電子伝達蛋白質である。これは光化学系Iから受け取った電子を複数の同化還元酵素へと伝達する役割を担っている。一般的にFdとFdに依存する酵素間での電子の受け渡しは、電子伝達複合体を形成した後に起こることが判っている。電子伝達複合体形成の際に注目したいのは、同じFdが生理活性の全く異なる複数の還元酵素と複合体を形成することである。研究代表者はトウモロコシ葉緑体中にあるFdとFd-NADP+還元酵素(FNR)との複合体結晶構造を明らかにしているが、この複合体構造中ではFd側の電荷を持ったアミノ酸による静電的な相互作用がFNRとの複合体形成に重要であることが見出された。さらに複合体を形成することによりFdとFNRの双方に構造変化が誘発されることも明らかにしている。しかしながら、FNR以外にFdとの複合体構造は報告されておらず、他の還元酵素の場合はどうであるかは不明のままであった。 平成13年度は、生理的に葉緑体型と逆の反応を触媒する根プラスチド型のFNRとFdを用いて電子伝達複合体を結晶化し、その立体構造を明らかにした。根型FNR : Fd複合体の分子間には、葉緑体型では見られなかった多くの水素結合が確認された。また、酸化還元中心であるFADと鉄・硫黄クラスターの相対配置が異なっており、鉄・硫黄クラスターの表面を使い分ける電子伝達の可能性が考えられる。さらに根型複合体中の分子間相互作用領域は葉型に比べると狭く、他のFd依存性酵素が複合体の酸化還元中心に接近する余地を残している。今回得られた複合体構造中のFNRと葉型複合体中のFNR、ホウレン草のFNR : NADP(H)複合体の3構造を比較したところ、根型複合体ではFdの結合だけでなくピリジンヌクレオチドの結合も根特異的であることが判り、このような器官特異的な相互作用がFNRの酵素作用の調節要因となる可能性を示していると言える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 栗栖源嗣: "植物の電子伝達蛋白質複合体の構造研究"日本結晶学会誌. 43. 399-404 (2001)
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[Publications] 栗栖源嗣, 楠木正巳, 有賀洋子, 長谷俊活: "植物型フェレドキシンとフェレドキシン依存性酵素との複合体の立体構造"蛋白質 核酸 酵素. 46. 1661-1667 (2001)
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[Publications] 栗栖源嗣, 有賀洋子, 楠木正巳, 長谷俊活: "植物プラスチドのレドックス代謝の分子基盤"化学と生物. 39. 660-666 (2001)
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[Publications] M.Otagiri, G.Kurisu, S.Swaminathan, S.Ui, S.Yoneda, M.Ohkuma, T.Kudo, S.Kusunoki: "Crystallization and Preliminary X-ray Studies of meso-2,3-butanediol dehydrogenase from Klebsiella pneumoniae IAM1063"Acta Cryst.. D57. 857-859 (2001)
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[Publications] T.Hatakeyama, N.Matsuo, H.Aoyagi, H.Sugawara, T.Uchida, G.Kurisu, M.Kusunoki: "Crystallization and Preliminary crystallographic study of an invertebrate c-type lectin, CEL-1, from the marine invertebrate Cucumaria echinata"Acta Cryst.. D58. 143-144 (2002)