2001 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の神経系におけるRas-MAPキナーゼ系の機能の解明
Project/Area Number |
13035007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
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Keywords | 線虫 / 化学走性 / 行動可塑性 / Ras-Mapキナーゼ / シグナル伝達 / グルタミン酸受容体 / 嗅覚 |
Research Abstract |
我々は、線虫C.エレガンスにおいて、Ras-MAPKシグナル伝達経路が匂い刺激により嗅覚神経内で活性化され、嗅覚神経の機能に必須の役割を果たすことをみいだしている。本研究では線虫の神経系におけるRas-MAPKの機能をさらに解析した。 1.let-60(gf)サプレッサーの分離と解析 let60(gf)のサプレッサーを分離したが、遺伝的バックグラウンドの違い等の影響のため、解析は進んでいない。 2.Ras-MAPキナーゼ系の嗅覚可塑性における作用点の決定 最近になって、匂い物質への化学走性が、その匂いへの短時間の暴露によって正から弱い負へと変化すること、Ras-MAPK系の各変異体がこの可塑性に著しい欠損を持つことを見いだしている。この嗅覚可塑性は単なる感覚神経レベルの感覚順応ではなく介在神経の機能を介したものであることを示す結果を得た。すなわち、線虫を嗅覚神経AWAで受容されるピラジンに曝すことにより、嗅覚神経AWCで受容されるベンズアルデヒドなどへの化学走性が低下した。AWC, AWAの双方から入力を受ける介在神経AIYが機能欠損するttx-3変異体はこの可塑性に欠損を示した。さらに、AWCへの匂い刺激により、AIY神経でMAPKが活性化した。活性化型RasをAIYに発現させると嗅覚可塑性の欠損が見られた。以上のことから、匂い刺激により嗅覚神経からの入力によりAIYでRas-MAPK経路が活性化され、AIYの機能により匂いへの行動が変化すると考えられる。 3.Ras-MAPキナーゼ系とグルタミン酸神経伝達系との関係の解析 Ras-MAPK系の変異体と同様に、グルタミン酸レセプターGLR-1の欠損変異体が匂い物質への応答の可塑性に欠損を示すことを見出している。このことから、Ras-MAPK系がグルタミン酸の神経伝達を制御する可能性が考えられる。そこで、let-60変異体においてGLR-1::GFPの神経細胞内局在を観察した。結果については、未だ確認中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Saeki S, Yamamoto M, Iino Y: ""Plasticity of chemotaxis revealed by paired presentation of a chemoattractant and starvation in the nematode Caenorhabditis elegans.""Journal of Experimental Biology. 204. 1757-1764 (2001)
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[Publications] Hanazawa M, Mochii M, Ueno N, Kohara Y, Iino Y: ""Use of cDNA subtraction and RNA interference screens in combination reveals genes required for germ-line development in Caenorhabditis elegans.""Proceedings of the National Academy of Sciences USA. 98. 8686-8691 (2001)