2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13035008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 貴文 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10262081)
|
Keywords | 脳・神経 / 生理学 / 発現制御 / カルシウム |
Research Abstract |
細胞内Ca^<2+>放出チャンネルである1型イノシトール3リン酸受容体(IP3R1)は小脳プルキンエ細胞に豊富に発現している。細胞内Ca^<2+>濃度の増加はプルキンエ細胞でのシナプス可塑性である長期抑圧現象(LTD)に必須であることは知られていたが、IP3R1がLTDに必須であることを、IP3R1の阻害抗体とIP3R1ノックアウトマウスを用いて示した。生後変性、脱落していく、1型小脳脊髄変性症(SCA1)モデルマウスのプルキンエ細胞においてIP3R1の発現量は減少しているが、シナプス刺激によるCa^<2+>放出はむしろ活性化していた。これらの知見は、プルキンエ細胞樹状突起でのCa^<2+>動態は複雑な時間・空間的特性をもって細胞内メカニズムを制御していることを示唆している。プルキンエ細胞樹状突起のCa^<2+>動態をさらに詳細に検討した。平行線維を50Hz、3〜8発刺激するとCa^<2+>の流入と細胞内からの放出が二相性に見られた。刺激回数を増加するとCa^<2+>上昇は一相性となり、持続時間は刺激回数に比例し、50発刺激では持続時間は6〜8秒、濃度は200mMに達した。IP3R1欠損マウスおよびIP3受容体阻害剤を用いて、この大きなCa^<2+>上昇はほとんどがCa^<2+>流入によることを示し、AMPA受容体阻害剤やCa^<2+>チャンネル阻害剤を用いNa^+とCa^<2+>の濃度変化を測定した結果、P型Ca^<2+>チャンネルがその主役であることが明らかとなった。プルキンエ細胞のAMPA受容体はCa^<2+>を通さないことが分子生物学的研究から示唆されているが、ここでは機能的に示すことができた。
|