2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13035021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 幹雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (70301273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽根 雅紀 科学技術振興事業団, 戦略的創造研究推進事業, さきがけ研究者
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Keywords | 神経科学 / 発生・分化 / 脳・神経 / シナプス / 軸索輸送 / ショウジョウバエ / 補体結合ドメイン / 免疫グロブリンドメイン |
Research Abstract |
神経細胞は著しい極性を持ち、神経細胞の形態形成と機能発現のためには、樹状突起・軸索といった各部位への蛋白質の選別輸送のシステムが重要である。また、神経細胞の発生・可塑性において、適切なタイミングによる機能分子の発現調節および翻訳後修飾の重要性が広く知られている。本研究では独自のアイディアとして、神経系発生過程における軸索輸送のスイッチング機構によって、特定の分子の局在が発生段階に依存して調節されている可能性を検証した。本研究では、ショウジョウバエのHIG蛋白質に着目した。興味深いことに、神経突起が接触を開始するステージである蛹中期にはHIGはシナプスに輸送されるが、その後のシナプス成熟化の時期である蛹後期にはHIGはシナプスへの輸送がブロックされて細胞体にのみ局在する。そこで、本研究においては、HIG蛋白質のドメイン解析を行うことによって、この現象の分子機構と生物学的意義を調べた。その結果、蛹中期におけるシナプスへの輸送のシグナルがHIG蛋白質の第一補体結合ドメインに含まれるのに対し、蛹後期における細胞体へのretensionのシグナルが免疫グロブリンドメインに含まれることがわかった。また、これらの局在調節に関わるドメイン群を全て欠いた、N末端側半分の部分だけを含むHIG蛋白質が、実はhig変異体の行動異常の表現型をレスキューするのに十分な活性を持つことがわかった。したがって、HIG蛋白質上において、局在調節と分子機能が分離して存在していることが示唆された。また、蛹期におけるHIG蛋白質の局在が変化するような変異体を検索した結果、R-o-hig1変異体バックグラウンドにおいては、蛹後期に部分的にではあるが、HIGがシナプスに輸送されるようになっていることがわかった。現在、この軸索輸送スイッチング機構の分子的基盤について、更に詳細な解析を行っていこうとしている。
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Research Products
(1 results)