2001 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性神経回路の形成時期にBDNFが持つ役割の解明
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13035036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鍋倉 淳一 九州大学, 医学研究院, 助教授 (50237583)
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Keywords | 神経成長因子 / 大脳皮質 / カリウムチャネル / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
BDNFは神経回路形成全般に深く関わっている。幼弱期においてGABAによって惹起される興奮性応答がBDNF産生を促進し、このBDNFはGABA作動性神経細胞の発達分化を引き起こすことが報告されている。今回、BDNFの発達期大脳皮質視覚野細胞の興奮性に対する作用を検討するために、発達期ラットから急性単離した神経細胞にパッチクランプ法を適用し、BDNFの急性作用を検討した。BDNFを投与するとカリウムチャネルの開口に伴う外向き電流が発生した。この電流は一旦発生するとBDNF投与終了後も非可逆的に発生しつづけた。各種カリウムチャネルブロッカーを用いた実験によって、BDNFによって開口するチャネルは細胞内カルシウム依存性カリウムチャネルであることが判明した。そこで、BDNFによる細胞内カルシウムの動態を光学的に検討した。BDNFを投与すると細胞内カルシウムイオンの持続的上昇がみられた。この細胞内カルシウムイオンの上昇は細胞外カルシウムイオンの除去によっても阻害されず、細胞内カルシウムストアからの放出であることだ予想された。また、TrkB受容体阻害薬であるK-252aによって細胞内カルシウムイオンの持続上昇はブロックされたため、BDNFはTrkB受容体を活性化させ、細胞内カルシウムストアからの持続的カルシウム流出を引き起こす。その結果、細胞内カルシウム依存性のカリウムチャネルを活性化させることが判明した。また、BDNF投与終了後も細胞内カルシウムが上昇し続けることから、BDNFによってTrkB受容体の持続的燐酸化(自己燐酸化など)がおこっていることが示唆させる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Morishita H, Makishima T, Kaneko C, Lee Y-S, Segil N, Takahashi K, Kuraoka A, Nakagawa T, Nabekura J, Nakayama J, Nakayama K-I: "Deafness due to degeneration of cochlear neurons in caspase-3-deficient mice"Biochemical and Biophysical Research Communication. 285. 142-149 (2001)
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[Publications] Ueno T, Ueno S, Akaike N, Nabekura J: "Bidirectional modulation of P2X receptor-mediated response by divalent cations in rat dorsal motor nucleus of the vagus"Journal of Neurochemistry. 78. 1009-1018 (2001)
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[Publications] Nabekura J, Ueno T, Katsurabayashi S, Furuta A, Akaike N, Okada M: "Reduced NR2A expression and prolonged decay of NMDA receptor-mediated synaptic current in rat vagal motoneurons following axotomy"Journal of Physiology. (印刷中). (2002)
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[Publications] Ueno T, Okabe A, Akaike A, Fukuda A, Nabekura J: "Diversity of neuron-specific K+-CI-cotransporter expression and inhibitory postsynaptic potential depression in rat motoneurons"Journal of Biological Chemistry. (印刷中). (2002)