2002 Fiscal Year Annual Research Report
高度感音難聴モデルマウスの繁殖・維持と聴覚系機能解析
Project/Area Number |
13035045
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 美智子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10158660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 紀子 戸板女子短期大学, 食物栄養, 講師 (30056717)
馬目 佳信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30219539)
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Keywords | 難聴 / モデルマウス / 先天性 / 内耳神経系 / 機能解析 |
Research Abstract |
高度感音難聴マウスである、くるくる;kuru^2は難聴と共に左右への毎秒1-5回転の回転運動と歩行失調等の行動異常を伴うという特徴を持つ.Jcl : ICRマウスより分離・樹立されたこのモデルマウスは本研究開始時、戸板女子大学衛生学教室で専用の飼育設備ではあるがごく小規模に育てられていた.しかし細々とした1ヶ所飼育では事故が起きれば系を失う危険性も大きく、また聴覚系機能解析実験のための必要数も供給できない事から研究はまず系の繁殖・維持から始めた.その結果、戸板女子大と平行し慈恵医大実験動物センターでも安定した繁殖が得られるようになり、さらに系の保存の為、平成14年12月より受精卵の保存法も検討し始めた.難聴と行動異常は産仔のほぼ100%に確認され、この系を平成13年にkuru^2と命名し表示を統一した. また、kuru^2に関与している難聴遺伝子については連鎖解析を行い既存の遺伝子なのか、新しい遺伝子が関与しているのかを明らかにする事とした.戻し交配を行い交配2代目(F2)を得るための相手としてM. m. castaneus (CAST)を選び、アメリカ/ジャクソン研究所から購入した.CASTとkuru^2の交配1代目(F1)では、難聴、回転運動および歩行失調等は観察されなかったことから、これらの形質は常染色体の劣性遺伝であることが示された.また、得られたF2マウス100匹のすべてについて、ABR (Auditory Brainstem response;聴性脳幹反応)により、蝸牛から内側膝状体(I波からVI波)までの音刺激による神経の興奮反応を検査した.その結果、I波(蝸牛)から全く反応のない難聴と正常の比は49:51、つまり、ほぼ1:1であることが明確に示された. このため、本モデルマウスの難聴形質には1遺伝子の関与が予測された.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Hasagawa N., Watanabe M., Inoue H., Kobayashi T., Kojima H., Manome Y.: "Mutant ICR mouse, Kuru2, manifests hearing impairment and abnormal behavior"In vivo. 16. 349-360 (2002)