2001 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内シグナル伝達系による中枢ニューロンの興奮性調節メカニズム
Project/Area Number |
13035051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
坪川 宏 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (30227467)
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Keywords | シグナル伝達 / 神経科学 / 生体分子 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
マウス海馬スライス標本およびスライス培養標本上のニューロンを用いて、以下の実験を行った。 1.PKCのトランスロケーションと細胞内カルシウム濃度変化の同時検出 PKCに結合する蛍光色素fim-1をCa^<2+>感受性蛍光色素であるfura-2と共に細胞内に充填し、両色素を異なった波長の光で逐次励起して蛍光を観察することにより、PKCの移動とCa^<2+>濃度変化との同時検出を試みた。薬物投与によるPKCのトランスロケーションは、細胞内カルシウム濃度に変化がなくとも誘発されたが、Ca^<2+>濃度が大きく上昇すると、より速やかに起こる傾向があった。記録している細胞に電流を注入して大きく脱分極させると、細胞体におけるfim-1の蛍光強度はCa^<2+>濃度の上昇とほぼ同時かやや遅れて減弱し始め、細胞内Ca^<2+>濃度が元のレベルに戻った後に回復した。この一過性の蛍光減少は、薬理学的なPKCの活性化やCa^<2+>イオノフォア投与時にも見られ、種々のPKC阻害剤を投与するとCa^<2+>濃度変化に影響を与えることなく抑制されたことから、トランスロケーションの開始を反映すると考えられる。 2.シナプス入力によって誘発されるPKCトランスロケーションの検出 海馬CA1野の錐体細胞では、シナプス伝達の長期増強の発現にPKCの活性化が必須と言われている。そこで、長期増強の誘発に用いられるような電気刺激を加えてPKCのトランスロケーションが検出されるかどうか試みた。入力線維に高頻度刺激を加えることにより、記録している錐体細胞のほぼ全ての領域で大きなCa^<2+>濃度増加が見られ、電気生理学的記録の上ではシナプス応答の長期増強が誘発された。しかしながら、電気刺激やCa^<2+>濃度増加に時間的に一致した膜分画へのトランスロケーションは確認できず、これを引き起こすには高頻度刺激を5-6回繰り返す必要があった。種々のPKC阻害剤を投与すると、細胞内Ca^<2+>濃度上昇に影響を与えることなくトランスロケーションは抑制された。これらの結果は、1)シナプス入力によって誘発されるPKCの活性化は、初期には樹状突起領域で起こっている、2)細胞体におけるPKCの活性化は長期増強の誘発ではなく維持に関与する、等の可能性を示すものである。
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Research Products
(1 results)