2001 Fiscal Year Annual Research Report
代謝調節型グルタミン酸受容体による脊髄視床路ニューロン活動性の調節機構
Project/Area Number |
13035053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
籾山 明子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (00333279)
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Keywords | 神経科学 / 生理学 / 脳・神経 / 薬理学 |
Research Abstract |
ラット(生後2週齢)の視床VPL核に、麻酔下において蛍光ラテックスビーズの注入手術を行った。その数日後、腰部脊髄のスライス標本(厚さ400ミクロン)を作製し、逆行性に標識されたスライス内の脊髄視床路(STT)ニューロンを、蛍光顕微鏡下に同定しこれからパッチクランプ記録を行った。主として深部後角に分布するSTTニューロンから記録を行った。脊髄には、グループI型の代謝調節型グルタミン酸受容体の発現が報告されているので、その選択的アゴニスト、DHPGを灌流液中に投与し、その作用を以下のパラメータに関して検討した。 1)STTニューロンの活動性の指標として、活動電位をセルアタッチト法により細胞外記録した。自発的に発生する活動電位の頻度は、DHPGによって増加した。この興奮作用はSTTニューロンの約75%において出現し、またDHPGを洗い流すことで回復がみられた。DHPGによる興奮作用は、興奮性・抑制性シナプス入力をともにブロッカーによって薬理学的に遮断した条件下でも認められた。 2)ホールセル法によって膜電位を細胞内記録すると、DHPGは緩やかな脱分極をまず誘発し、引き続いて活動電位が発生した。脱分極のイオン機構については現在検討中である。 3)ホールセル電圧固定法によって自発的に発生するシナプス電流を記録すると、その頻度がDHPGによって増加した。この作用は興奮性・抑制性いずれのシナプス電流においても認められた。 以上の結果は、グループI型の代謝調節型グルタミン酸受容体の活性化によって、STTニューロンへの直接的な興奮作用と、STTニューロンへのシナプス入力増強作用とを、ともに誘発することを示している。
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