2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネゲノムに見出されたツングロウイルスゲノム断片の構造と機能に関する分子的基礎
Project/Area Number |
13039003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
貴島 祐治 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60192556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 芳雄 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70109528)
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Keywords | イネゲノム / RTBV様配列 / DNAウイルス / イネの祖先種 |
Research Abstract |
1.イネゲノムに内在するRTBV様配列の構造 イネゲノムのデータベースやライブラリーのスクリーニングから内在するRTBV様配列(ERTBV)を単離し,合計18断片の構造を解析した。これらの断片はRTBVのORF3(最も長いORF)と相同部位を持つ。ERTBVの断片間では高度に再編成が生じていたが,塩基配列のレベルでは全体的に高い相同性(90%以上)を示していた。再編成部位を順々に並べ換えた結果,約7.5kbの環状構造を有する配列が再構築された。 2.ERTBVのウイルス様構造 これら3つのグループごとにコンセンサス配列を選んで塩基配列を組み直すと,3つのグループそれぞれで完全なORFを有する約7.5kbのウイルスゲノムが再現できた。3つグループの配列は似た構造からなるが,塩基レベルでは構造の違いが区別でき,ERTBV-A,-Bおよび-Cとした。ERTBVの最も長いORFにはRTBVのORF3と同一の機能を持つタンパク質遺伝子が同じ順序でコードされていた。ERTBV-A,-BおよびCは過去に存在した2本鎖DNAウイルスで現在のイネの祖先種に感染し,ウイルスの環状配列が,ゲノムへ挿入した時に逆位等の再編成が生じ,現在のERTBV断片が発生したと推定できた。また,RTBVウイルスゲノムは植物ゲノムに比べ,140倍の速さで進化していると推定できた。 3.ERTBVとイネ属植物の種分化 ERTBVの3つのグループそれぞれにジャポニカ系統およびインディカ系統で得られたERTBV断片が存在することから、ERTBVはO. sativaの分化以前に挿入していたと考えて間違いない。また,ハイブリダイゼーション実験からERTBVはアジアに分布するイネ植物種を中心に検出され,アフリカや南米種のイネ属植物では検出されなかった。従って,ERTBVのイネ属植物ゲノムヘの挿入は,Oryza属のアフリカや南米種が分化した後からジャポニカ・インディカ系統に分化する前の期間に起こったと考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Hashida Shinnosuke: "Temperature shift coordinately changes the activity and the methylation state of Transposon Tam3 in Antirrhinum"Plant Physiology. (in press). (2003)
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[Publications] Takagi Kyoko: "MITE-transposon display efficiently detects polymorphisms among the Oryza AA-genome species"Breeding Science. (in press). (2003)
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[Publications] Nagano Hironori: "Characterization of the repetitive sequences in a 200-kb region around the Rice waxy locus diversity of transposable elements and presence of veied repetitive sequences"Genes & Genetic Systems. 77(2). 69-79 (2002)