2001 Fiscal Year Annual Research Report
青枯病菌の宿主植物における認識機構と病原性発現機構の解明
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13039012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
曵地 康史 高知大学, 農学部, 教授 (70291507)
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Keywords | 青枯病 / Ralstonia solanacearum / PopAタンパク質 |
Research Abstract |
青枯病菌R.solanacearumによる青枯病の病徴発現に大きな影響を与える青枯病菌の宿主における増殖について、タイプIII分泌タンパク質PopAタンパク質を用いて、その詳細について検討した。 R.solanacerum OE1-1(OE1-1)のpopABCオペロン欠損株ΔABCは、OE1-1と同様に、タバコ葉に侵入後はげしく増殖しタバコに病原性を示した。一方、恒常的発現プロモーターの下流にpopAを有するpPapaのΔABC形質転換株Δpapaは、in vitroではΔABCやOE1-1と同様に増殖したが、タバコでの増殖と移行は抑制され病原性を示さなかった。RT-PCRにより、popAの発現はOE1-1では侵入3時間後から、Papaでは侵入直後から認められ、侵入3時間後までに発現したPopAタンパク質はR.solanacearumの増殖能・移行能を負に制御する能力を有していると考えられた。OE1-1では3時間後からその発現が認められるために、Δpapaは欠損株であるために、青枯病菌の侵入直後の増殖は影響を及ぼされないと考えられた。すなわち、侵入3時間後までのR.solanacearumと宿主との相互作用により、宿主での菌の増殖と移行が決定され、R.solanacearumの病原性が調節されると考えられた。 そこで、OE1-1トポランスポゾン(Tn)変異株の中から、in vitroではOE1-1と同様に増殖するが、タバコでは増殖できないMINEを選抜した。TnはMINEゲノムのSigma70をコードするrpoDの3'に挿入されており、塩基配列の解析から、変異Sigma70の共通配列Region2.2の5番目のアルギニン以降のアミノ酸がトランスポゾン由来の塩基に基づくと推測された。Sima70の変異によるhrp遺伝子の発現にへの影響は認められなかった。Region2.2のアルギニン残基はSigma70の選択性に関与しておると考えられており、sigma70の変異により、タバコでの増殖に必要な因子の転写が制御されると考察された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 曳地康史: "Ralstonia solanacearumの病原性機構"植物感染生理談話会論文集. 36. 46-55 (2000)
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[Publications] 曳地康史: "青枯病菌の病原性を決定する宿主植物との相互作用"土壌伝染病談話会レポート. 20. 46-56 (2000)
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[Publications] Kanda, A., Hasegawa, H., Takahashi, H., Hikichi, Y., Okuno, T.: "Roles of popA for the pathogenicity of Ralstonia solanacearum pathogenic to tobacco"Proceedings of the 10^<th> international Conference on Plant Pathogenic Bacteria. 233-236 (2001)