2001 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白質に特有のプロテオリシスのメカニズムと神経発生における生理的意義
Project/Area Number |
13041009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 光治 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60272481)
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Keywords | 脳 / 神経発生 / Eph / 蛋白質分解 / 神経細胞 |
Research Abstract |
神経系の正確な発生のためには、細胞間コミュニケーションが様々なレベルで厳密に制御される必要がある。一般に、蛋白質分子の発現及び機能は、(1)転写・翻訳、(2)翻訳後修飾やクラスタリング、(3)蛋白質分解、の三つの段階で制御されている。申請者は、神径細胞の軸索誘導において重要な役割を果たすephrin-A2が、その受容体(EphA受容体型チロシンキナーゼ)に結合すると、特異的な分解を受けること、及びこの分解が軸索の退縮に重要であることを見い出した(Science 289:1360(2000))。GPIアンカー型蛋白質であるephrin-A2が細胞内に情報を伝えるためには膜貫通型co-receptorの存在が予想されるが、今回、その候補となる分子を数種見いだした。また、ephrin-A2の分解活性化に必要な細胞内チロシンキナーゼとしてFynまたはAb1であるとの知見を得た。興味深いことにFynの活性は、分解以前にephrin-A2の発現レベル調節に関与しているとの知見を得た。また、やはり神経発生、特に神経細胞の移動に必須とされる分子Reelinの分解経路についても解析し、三カ所の特異的分解部位が存在すること、分解産物のうちいくつかは、分解後も複合体を形成していること、この分解は血清中の何らかの分子によって阻害されることを見いだした。以上のことから、神経発生において、膜蛋白質及び細胞外蛋白質の分解が高度に制御されており、これを解析することで、蛋白質分解が関与されるとされる神径系の病態(アミロイド前駆蛋白質のプロセシングなど)や高次機能調節(接着分子を介した形態変化など)の理解にも重要な貢献をできると考えられる。
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