2002 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路の形成、維持、変化における細胞接着分子の役割
Project/Area Number |
13041020
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 助手 (10334674)
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Keywords | シナプス可塑性 / βカテニン / NMDA受容体 / ノックアウト / C57B1 / 6 / 接着分子 / 高次脳機能 / ES細胞 |
Research Abstract |
シナプスの形成、維持、変化は、神経系における脳の情報処理の基本的要件であり、これらの分子機序の解明は、脳高次機能を分子レベルで理解するために必須である。本研究の目的は、脳の領域と時期を限定して遺伝子組換えを起こせるシステムを用いて、発達時期のシナプス形成と保持に関与する分子が成体におけるシナプス可塑性や高次脳機能へ果たす役割の検証をおこなう事である。本研究では、脳高次機能を解析する時障害になるマウスの遺伝子背景を避けるために、我々が新たに樹立したC57BL/6系統マウス由来ES細胞を用いた組換えマウス作成システムを利用した。まず、接着分子カドヘリンの裏打ちタンパクであるβカテニン遺伝子に着目した。この分子は、シナプス形成と維持に関与することが示唆されているが、一般的なノックアウトでは胎生14日で発生が停止するために成体での機能が不明である。そこで、この遺伝子にloxP配列を導入した標的マウスを作成し、海馬CA3錐体細胞にCreを優位に発現するγ1CreN+と交配することで、海馬CA3領域でβカテニンを欠損したマウスを作成した。このマウスではβカテニンが海馬CA3領域で欠損していることを免疫組織化学で確認した。さらに、NMDA受容体ε2サブユニットを標的としたマウスとγ1CreN+と交配し、海馬CA3領域でこのサブユニットが発現しないマウスを作成した。NMDA受容体はシナプス可塑性の鍵を握る分子の一つであるがそのε2サブユニットは一般的なノックアウトで致死である。本研究で作成したこれら部位時期特異的ノックアウトマウスは、正常に産まれ生育するために、成体においてそれぞれの分子が果たす機能を解析することが可能である。これらマウスの解析を進め、発達時期のシナプス形成と保持に関与する分子が成体におけるシナプス可塑性や高次脳機能へ果たす役割の検証をおこなう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Honama, D.: "Cloning and characterization of porcine common γchain gene"Journal of Interferon and Cytokine Research. (in press). (2003)
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[Publications] Petrenko, A.B.: "Unaltered pain-related behavior in mice lacking NMDA receptor GluR ε1 subunit"Neuroscience Research. (in press). (2003)
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[Publications] Ichikawa, R.: "Distal Extension of Climbing Fiber Territory and Multiple Innervation Caused by Aberrant Wiring to Adjacent Spiny Branchlets in Cerebellar Purkinje Cells Lacking Glutamate Receptor δ2"The Journal of Neuroscience. 22(19). 8487-8503 (2002)