2001 Fiscal Year Annual Research Report
基底核-視床-大脳皮質神経回路網の形成と機能発現におけるId2の役割
Project/Area Number |
13041021
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
|
Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
横田 義史 福井医科大学, 医学部, 教授 (50222386)
|
Keywords | 分化抑制因子 / Id2 / 細胞分化 / bHLH因子 / ドーパミン作動性神経 / 黒質 / 線条体 / 多動 |
Research Abstract |
分化抑制因子Id2は、myogeninやneuroDをはじめとするbHLH型転写因子の機能抑制因子であり、細胞分化の阻害と細殖促進活性を持つ。Id2欠損マウスは、線条体でのドーパミン代謝冗進を伴う自発運動の冗進を示すが、その病態解析から大脳基底核を中心とした神経回路網の形成と概能発現におけるId2の役割を明らかにすることが本研究の目的である。これまでに、線条体でのドーパミン(DA)の放出は対照の3倍程度冗進しているものの黒質DA神経細胞の数自体には著変はないこと、黒質自体にはId2の発現は見られないことなどがわかっている。本年度の研究成果は以下のとおりである。 1)抗ドーパミントランスポーター(DAT)抗体などを用いた免疫組織化学により黒質緻密部から網様部への樹状突起の伸展が減弱していると昨年度報告したが、その後、ホールマウント免疫染色などを用いて詳細に検討したところ、当初考えられたほどには顕著な差が見られない。 2)免疫組織化学では黒質DA神経細胞においてDAT等の発現冗進が見られるが、全脳レベルでのウェスタンブロットでは発現レベルに差はみられない。 3)in situ hybridizationを用いて線条体におけるサブスタンスP、エンケファリン、およびドーパミン受容体のD1、D2の発現を検討したところ、発現レベル、発現細胞数に著明な変化は見られなかった。 4)in situ hybridizationを用いてマウス中枢神経系でのId2の発現を検討した。これまで報告されていた大脳皮質第2/3層,5層、小脳プルキンエ細胞など以外にも、扁桃体、外側膝状体、上丘、中陥核等にも発現が見られた。 5)その他の成果として、培養系で誘導される小脳顆粒細胞のアポトーシスの過程にId2が係わっていることなどを明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Fujii, Y.: "Taxon-specific ζ-crystalline in Japanese tree frog(Hyla japonica)lens"J. Biolo. Chem.. 276(30). 28134-28139 (2001)
-
[Publications] Tachibana, A.: "Genomic organization and chromosomal mapping of the basic helix-loop-helix factor OUT(Tcf23/TCF23)"Cytogenet. Cell Genet.. 94(1-2). 23-25 (2001)
-
[Publications] Greichmann, M.: "Identification of inhibitor-of-differentiation 2 as a modulator of neuronal apoptosis"J. Neurochem.. 80. 755-762 (2002)
-
[Publications] Lasorella, A.: "Id2 is critical for cellular proliferation and is the oncogenic effector of N-myc in human neuroblastoma"Cancer Research. 62(1). 301-306 (2002)
-
[Publications] Yokota, Y.: "In vivo function of a differentiation inhibitor, Id2"IUBME Life. 51(4). 207-214 (2001)
-
[Publications] Yokota, Y.: "Id and development"Oncogene. 20(58). 8290-8298 (2001)