2001 Fiscal Year Annual Research Report
小脳顆粒細胞のマイグレーションを制御する分子機構の解析
Project/Area Number |
13041028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見学 美根子 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10303801)
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Keywords | 細胞極性 / 中枢神経系ニューロン / DNER / 小脳顆粒細胞 / 先端突起 / 神経細胞移動 |
Research Abstract |
中枢神経系ニューロンが脳内を正しい方向に細胞移動するためには、個々のニューロンが細胞極性を獲得することが不可欠である。本研究では小脳顆粒細胞を用いて中枢神経系ニューロンの移動極性を決定する細胞内因性機構の解明を目指した。顆粒細胞は内在性プログラムに従い90度方向を変えて移動する。まず移動中の顆粒細胞の極性変換を司る細胞機構を明らかにするため、方向転換を再構成した培養下の顆粒細胞にGFPを強制発現させ、移動に伴う形態変化をタイムラプス共焦点顕微鏡で詳細に追跡し、顆粒細胞の軸索および樹状突起の形成と発達のダイナミクスを解析した。顆粒細胞では双極性の軸索がまず発達し、細胞体が方向を変えて移動した後に樹状突起の発達が起ると考えられてきたが、実際には軸索形成ののち移動しながら神経突起が徐々に伸長して樹状突起に分化していくことが明らかになった。また極性転換の前後で先端突起の特性が大きく異なり、前者は伸長して軸索に分化するが、後者は樹状突起に分化することが明らかになった。また顆粒細胞の方向転換を制御する分子を同定するため、方向転換の起る時期の顆粒細胞で特異的に発現する分子をPCR subtractionにより単離した。その結果、細胞外に神経細胞分化に重要な役割をもつNotchシグナル分子のNotchやDeltaと相同のEGFモチーフを持つ一回膜貫通型の新規タンパク質DNER(Delta/Notch-like EGF-related Receptor)を同定した。DNERmRNAは発生中と成体の脳で特異的に発現し、タンパク質は中枢神経系ニューロンの樹状突起に局在することが明らかになった。また顆粒細胞では、方向転換後の先端突起に特異的に発現しており、DNERが中枢神経系ニューロンの樹状突起や先端突起の形成や機能に何らかの役割を持つ事が示唆された。
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Research Products
(1 results)