2001 Fiscal Year Annual Research Report
視床から皮質内抑制回路への投射に対するアセチルコリンの制御
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13041034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 文隆 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (00202044)
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Keywords | 伝達物質放出確率 / 視床-皮質切片標本 / ムスカリニック受容体 / ニコチニック受容体 / MK-801 / マウス / 入力由来依存性 |
Research Abstract |
大脳皮質には前脳基底部よりアセチルコリン含有繊維の密な投射を受けており皮質内情報処理に重要な役割を果たしていると考えられているが、その制御様式の詳細については不明な点が多く残されている。研究代表者は、これまでにムスカリニック受容体を介してシナプス伝達が抑制されることを示してきたが、本研究ではニコチニック受容体の作用に注目した。ニコチニック受容体は視床由来の上行性繊維の終末に局在するという報告があるため、視覚野の切片標本で実験することは不可能であったので、体性感覚野(バレル皮質)から視床-皮質標本を作製し、視床刺激による反応を皮質において観察した。まず、パッチ電極を用いたシナプス電流を記録しニコチン投与の効果を検討した。ニコチンは視床刺激によるシナプス反応を上昇する作用があったが、量子解析の結果は作用が前性であり伝達物質放出確率を上昇させていることが示唆された。またニコチンの作用は幼弱時に顕著であると報告されているが、ニコチンの作用を定量的に評価するために伝達物質放出確率の発達における変化について詳細に検討することが先決だと思われたので、この点についての検討を試みた。この目的で、NMDA受容体のopen channel blockerであるMK-801を用いて、連続刺激による進行性抑制の程度を異なる生後齢のマウスで比較した。その結果、生後7日以前では3種類の放出確率を持つ神経終末が認められたが、これ以降は2種類のみとなり最も高い放出確率を持つ神経終末は脱落していた。一方で、中、低放出確率を示す神経終末の放出確率は漸増傾向にあった。その結果、全体としては放出確率は上昇し、生後約2週で成熟動物レベルに達していた。この結果は、可塑的な時期にのみ高い放出確率の神経終末が存在し、可塑的変化の効率を上昇させることに寄与しているものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Kimura: "Cholinergic modulation of cortical function : A hypothetical role in shifting the dynamics in cortical network"Neuroscience Research. 38. 19-26 (2000)
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[Publications] Taniguchi et al.: "Actions of brain-derived neurotrophic factor on evoked and spontaneous EPSCs dissociate with maturation of neurones cultured from rat visual cortex"Journal of Physiology. 527. 579-592 (2000)
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[Publications] Kimura et al.: "Brain-derived neurotrophic factor blocks long-term depression in solitary neurones cultured from rat visual cortex"Journal of Physiology. 524. 195-204 (2000)
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[Publications] Tsumoto et al.: "Slow synaptic responses and modulation"Modulatory action of brain-derived neurotrophic factor on synaptic transmission in rat visual cortex. 455 (2000)