2001 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質特異的遺伝子欠損システムを用いたバレル形成分子機構の研究
Project/Area Number |
13041065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩里 琢治 理化学研究所, 行動遺伝学技術開発チーム, 研究員 (00311332)
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Keywords | 条件的遺伝子欠損 / ジーンターゲティング / Cre / loxPシステム / 神経活動依存的発達 / 神経科学 / ES細胞 / AC1 / マウス発生工学 |
Research Abstract |
マウス体性感覚野のバレル形成は、活動依存的な脳発達のモデルとして注目されてきたが、これまで方法論の不備のため、その分子機構の解明は顕著に遅れていた。私は、その問題点を克服するため、Cre/loxP組換えシステムを応用して、大脳皮質特異的遺伝子欠損システムを開発した。本研究では、バレル形成におけるAC1の役割を解析するために、AC1遺伝子を大脳皮質特異的に欠損したマウスを作製することを目的とする。今年度、まず、AC1ゲノムをライブラリーからスクリーニングし、その遺伝子構造を解析した。その結果、AC1が多数の小さなエキソンからなる大きな遺伝子であることが判明した。エキソン1は比較的大きく、機能的にも重要と考えられるので、ターゲッティングベクターとして、エキソン1をloxPで挟む形が最も適当と考えられた。loxPの挿入自体が、エキソン1の機能を阻害しないためには、2個のloxPの間隔を大きく取る必要があり、全長22kbの大きなベクターをデザイン、作製した。このベクターをES細胞に導入し、281クローンをスクリーニングしたところ、4クローンのみが相同組換えによる挿入であった。そして、その中に、5', 3'両端ともloxPの外側で相同組換えを起こしているクローンは得られなかった。この結果は、この領域における相同組換えの効率が悪いことを示す。対策として、強力なネガティブ選択能を持つDTAをコンストラクトに挿入した新たなベクターを作製し、ES細胞に導入した。そして、1000個以上の多数のクローンを単離、凍結した。現在、それらのES細胞クローンをサザンブロットによってスクリーニングしている。
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