2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13044003
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
上野 直人 基礎生物学研究所, 形態形成研究部門, 教授 (40221105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平良 眞規 東京大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60150083)
西田 宏記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60192689)
小林 悟 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(岡崎共通研究施設), 統合バイオサイエンスセンター, 教授 (90225508)
田代 康介 九州大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00192170)
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Keywords | 初期発生 / 器官形成 / 再生 / 形態形成 / 細胞間相互作用 / シグナル伝達 / 幹細胞 / 進化 |
Research Abstract |
本研究課題では初期発生における細胞運命の決定、細胞間相互作用、細胞移動など様々な現象を分子レベルで理解するために、系統的・網羅的アプローチを取り入れることを目標にしている。計画班員の田代康介らはマイクロアレイによる遺伝子発現解析において実験条件や遺伝子情報を効率的に抽出可能なデータベースシステムを構築し、さらに、遺伝子情報、他のデータベースシステムとのリンク機能を付加することによって、ツメガエル以外の生物との相関において情報が抽出できるシステムの開発を行うなど、同アプローチの基盤整備を行った。計画班員(A01)の班長、上野直人らは、アフリカツメガエルを用いたマイクロアレイ法やEST解析を行ったcDNAライブラリーを用いた発現クローニング法によって、脊椎動物の原腸形成を制御する因子を多数同定し、それらの機能解析を行っており、原腸形成における細胞運動の分子メカニズムについて大きな発展が見られている。計画班員西田宏記らはmacho-1と呼ばれる筋肉決定因子について研究してきたが、本年度から新たな研究課題に取り組んでおり、ワカレオタマボヤ(Oikopleura dioica)と呼ばれ、終生尾を持ち続けるという構造的特徴や系統学的位置から、進化的かつ発生学的に興味深い生物に着目した。現在、新しい実験動物としての同オタマボヤの継代飼育法の改良と発生の観察に精力を注いでおり、その実現によって将来、独創的な研究の展開に結びつくと期待される。計画班員小林悟らはGFPで標識した生殖細胞をセルソーターで分離し、生殖細胞特異的に発現する遺伝子の網羅的探索を行ってきたが、同定された生殖細胞特異的に発現する数十の遺伝子については、RNAi(RNA干渉法)などによる網羅的機能解析の段階へと移行しつつある。当初の目的通り、研究が順調に進展しているものと考えている。公募班員の川上浩一らはゼブラフィッシュをモデル生物として用いて開発してきた新しい2つの方法論、メダカトランスポゾンTol2および母性変異を分離するスクリーニングシステムを用いて、脊椎動物初期発生を制御する新規遺伝子群を同定し、機能解析することを目的として研究を進めており、重要な発生制御遺伝子の発見が期待される。また、公募班員の目野主税らはTGF βスーパーファミリーに属するleftyや転写因子FoxH1(FAST)等のNodalシグナルの伝達もしくは制御に関わる因子の解析を通して、マウス胚の形態形成においてNodalが多彩な役割を果たし得るメカニズムを解析し、本年度、胸腔臓器に右側相同が生ずるActRIIBヌル変異マウスと、反対に左側相同が生じるlefty1ヌル変異マウスの解析を通して、左右形成におけるNodalシグナルの制御の一端を明らかにした(Natureに発表)。
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Research Products
(6 results)