2001 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカツメガエルの尾の再生に働く遺伝子の系統的検索と解析
Project/Area Number |
13045009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 健雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10201469)
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Keywords | アフリカツメガエル / 両生類 / 器官再生 / 分子機構 / 遺伝子 / cDNA / Pentraxin / レクチン |
Research Abstract |
研究代表者らは、脊椎動物の器官再生の分子機構を解明する目的で、器官再生能が高い両生類(アフリカツメガエル)において、幼生の尾の再生芽で特異的に発現する遺伝子をdifferential display法により検索し、neuronal pentraxin I(NP1)とコラーゲン遺伝子を同定している。 本研究では、再生の初期に働く分子を調べる目的で、ツメガエル幼生の尾の切断後、再生芽形成に先立って発現する遺伝子を、differential display法で検索するとともに、NP1の発現をin situハイブリダイゼーション法で詳細に検討した。その結果、アポトーシス促進活性をもつHsp結合タンパク質の遺伝子が、再生芽の形成に先立って一過的に発現することを見出し、その完全長cDNAを得た。このタンパク質は、再生芽形成のための間隙の形成に働く可能性がある。またNP1遺伝子は尾の再生芽の間充織細胞に特異的に発現し、上皮細胞には発現しないことから、再生芽における間充織-上皮相互作用に関わると推測された。 一方、同じく高い器官再生能をもつ昆虫(ワモンゴキブリ)では、Ca^<2+>依存性の体液性レクチンのファミリーが存在し、レクチン遺伝子が肢の再生芽に特異的に発現することが示されている。本研究では、ツメガエルの器官再生に働く分子の候補としてこのレクチンのツメガエルホモログの同定も試みた。解析の結果、ツメガエルにもCa^<2+>依存性の血清レクチンのファミリーが存在し、そのメンバーの遺伝子がやはり再生芽選択的に発現することが判明した。ただし、両者は構造上の有意な類似性はなく、機能的なホモログと考えられた。 以上、本研究ではツメガエルの器官再生時に選択的に発現する遺伝子群を新しく同定し、その特徴的な発現様式を明らかにした。前段と後段の内容は各々、投稿準備中、投稿中となっている。
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