2004 Fiscal Year Annual Research Report
法整備の包括的枠組み(1)法典整備、法曹養成と政治改革
Project/Area Number |
13123203
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鮎京 正訓 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 教授 (40126826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 英樹 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授・理事(研究職) (60022422)
市橋 克哉 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40159843)
四本 健二 名古屋経済大学, 法学部, 助教授 (00329848)
小野 耕二 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70126845)
|
Keywords | 法典整備 / 法曹養成 / 政治改革 / 比較政治体制論 / 伝統法 |
Research Abstract |
体制移行諸国における法典整備、政治改革の課題を、(1)2004年5月の国際シンポジウム「法学における国際協力と比較法学の課題」(東京)、(2)2004年7月の国際シンポジウム「憲法裁判所、新しい民主主義諸国とEU加盟」(ハンガリー、ブダペスト)において明らかにした。これらの国際会議は、「法整備支援における比較法学の課題」、「憲法裁判所」の意義を理論的に明らかにするという課題を担っていたが、法整備支援学構築にむけての理論は未だ十全には確立しえていないことがあらためて理解できた。法整備支援学は、援助の実際の中で作られていくという性格を色濃く有している。その意味で、本国際シンポジウムにおいては援助する側からの報告を中心にすえながらも、援助されてきた側の研究者からも積極的な討論への参加があったことは、法整備支援学にかかわる今後の世界的な共同研究、学術提携の強化に向けて大きな第一歩をふみだしたことを意味した。 また、「法整備支援における比較法学の課題」というテーマは、「市場経済化」、「法の支配」、「民主主義」、「ガバナンス」、「人権」など法整備支援にかかわるキーワードの意味の確定という作業と密接に関連していることが明らかとなった。また同時に、上記のキーワードは、各国援助機関、国際援助機関が法整備支援を行う場合の「援助理念」をどのように定めていくかという問題とも深くかかわっている。 日本のODA大綱(2003年改定)では、「良い統治(グッド・ガバナンス)」支援が謳われ、その項目の中に「法・制度構築」支援が位置づけられるにいたったが、しかし、ODAとしての法整備支援の実際においては、「市場経済化」にむけて民商法中心の支援が実施されてきた。いま、JICAによるキルギスに対する公務員制度改革をはじめとするガバナンス支援も開始されようとしており、司法分野だけではなく公法分野の法整備支援も現実の課題となってきている。 「法の支配」、「民主主義」、「ガバナンス」、「人権」などの分野における法整備支援は、これまでの日本においてはほとんど着手したことがなく、その意味では、一方では、「グローバル化の中の民主主義、人権」というテーマに関する「対話」が途上国、体制移行国の法学研究者、法実務家と行われければならない。 これらの研究を通じて、以上の諸点が明確となった、と言えよう。
|
Research Products
(10 results)