2003 Fiscal Year Annual Research Report
法整備の包括的枠組み(2)司法制度改革の現状と課題
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13123206
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
戒能 通厚 早稲田大学, 法学部, 教授 (00013011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新美 育文 明治大学, 法学部, 教授 (80022432)
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Keywords | 司法改革 / 法整備支援 / 比較法国際会議 / 市場化 / 土地使用権 / 体制移行国 |
Research Abstract |
今年度はベトナムにおける土地使用権と司法改革の関連性を追求した。このため、中国、ロシア、ウズベキシタンなどの中央アジアの諸国における土地法の改革について専門家からのヒアリングを実施し、昨年末には、ハノイでベトナム国家と法研究所との共催シンポを開催、また、カントー大学のディエン教授との間で農地関連でのセミナーを開催し、多くの成果を得た。 そもそも、「法整備支援」の課題は、今日、世界の様々な地域で活発な論議が行われている法の移植や法の「共通化」といった課題と密接に関わっている。例えば、1900年にパリで開かれた比較法国際会議を記念して各地でその100周年記念の行事がいくつか行われたが、連合王国のケンブリッジ大学で開かれたその一つの国際会議では、法の普遍主義的な立論の伝統と法の機能主義的な立論の伝統という相反的な立場から興味深い論議が行われているが、nation stateの揺らぎのなかで、法を改めて異なる社会における機能的な等価物として論じる立場が有力に打ち出されている。もっとも、法の移植の可能性がすぐれて現代的なコンテクストで論じられるようになったのは、言うまでもなく、冷戦構造崩壊後の世界を席巻する「市場」化の故である。 この研究が「司法改革」という主題を土地における事実上の私権の成立を意味する土地使用権との関係で論じるのは、それが、体制移行国に展開する「市場化」の直接的な反映を論じるのに適合的であるとの想定からであるが、「市場化」によって加速される市場媒介法の「普遍化」とともに、その機能的等価物が必ずしも当該の社会に受容されることにならない側面に注目したいからでもあった。ハノイシンポではこのような課題を論じた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 戒能通厚: "法科大学院と比較法・外国法教育"比較法研究(比較法学会). 64号. 97-104 (2003)
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[Publications] 戒能通厚: "「憲法と民法」へのコメント"法律時報. 76巻2号. 82-86 (2004)
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[Publications] 戒能通厚, 野村豊弘, 松本恒雄, 楜澤能生, 武藤司郎, 小川祐之, 向笠友子: "ベトナム現地調査報告書 http://tla.nomolog.nagoya-u.ac.jp/参照"科研費特定領域、司法改革班報. 427 (2003)
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[Publications] 戒能通厚, 鈴木賢他: "司法改革班ワーキングペーパー第4号「中国における市場経済化と司法改革」 http://tla.nomolog.nagoya-u.ac.jp/参照"科学研究費特定領域研究、司法改革班. 25 (2003)
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[Publications] 戒能通厚, 杉浦一孝他: "司法改革班ワーキングペーパー第5号「司法制度改革研究と法整備支援論」 http://tla.nomolog.nagoya-u.ac.jp/参照"科研費特定領域研究、司法改革班. 21 (2003)
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[Publications] 戒能通厚, 山村理人他: "司法改革班、ワーキングペーパー第6号「市場経済化と土地所有の比較法社会学的検討- 旧ソ連諸国の事例」 http://tla.nomolog.nagoya-u.ac.jp/参照"科研費、特定領域研究、司法改革班. 33 (2004)