2003 Fiscal Year Annual Research Report
酵素触媒機構の理論化学的解明とコバラミン酵素の進化工学的改変並びにコンポジット化
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13125205
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
虎谷 哲夫 岡山大学, 工学部, 教授 (70026318)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久枝 良雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70150498)
山西 守 岡山大学, 工学部, 助手 (30240063)
飛松 孝正 岡山大学, 工学部, 助教授 (30188768)
吉澤 一成 九州大学, 先導物質科学研究所, 教授 (30273486)
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Keywords | ビタミンB_<12>補酵素 / X線構造解析 / ラジカル酵素 / エタノールアミンアンモニアリアーゼ / 理論計算 / ジオールデヒドラターゼ / 立体特異性 / 再活性化因子 |
Research Abstract |
1.B12補酵素(アデノシルコバラミン:AdoCbl)関与ジオールデヒドラターゼは、R体、S体いずれの1,2-プロパンジオールにも作用するので、一見立体特異性がないように見える。しかし実際には、両エナンチオマーが異なる立体化学経路で立体特異的に反応することが標識実験によって示唆されていた。本研究では、酵素の精密な立体構造に基づいてこの立体化学経路を明らかにするために、R体、S体それぞれの基質と酵素、シアノコバラミンの複合体を結晶化し、結晶構造解析とそれに基づくモデリングを行った。その結果および量子化学的考察により、両エナンチオマーが生成物に変換される過程の詳細な立体化学経路を解明することができた。 2.AdoCbl関与エタノールアミンアンモニアリアーゼの再活性化因子の遺伝子を初めて同定した。この遺伝子を酵素遺伝子と共発現させることにより、その産物が再活性化因子として機能することを確認できた(論文投稿中)。 3.本研究でこの3年間に得られた研究成果を含めて、総説を英文(Chemical Reviews誌)および和文(ビタミン誌)で発表した。特にアメリカ化学会発行のChemical Reviews誌は化学分野で最も権威のある総説誌であり、そのラジカル酵素学特集号に依頼されて執筆したことは、本研究が国際的に高い評価を受けていることを示すものである。 4.九州大学吉澤教授グループとの共同研究により、ジオールデヒドラターゼ反応に関して酵素の全原子を考慮したQM/MM法による理論計算を行った。その結果、水酸基移動における活性部位アミノ酸残基の寄与の重要性が明確に示された(論文投稿中)。 5.九州大学久枝教授グループは、ジオールデヒドラターゼモデルとして、B12とクラウン化合物とを連結した分子を合成し、これがカリウムイオンを結合することを示した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Toraya, T.: "Radical Catalysis in Coenzyme B12-Dependent Isomerization (Eliminating) Reactions"Chem.Rev.. 103(6). 2095-2128 (2003)
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[Publications] 虎谷哲夫: "シンポジウムB群ビタミンはどのように働くか:ビタミンB12酵素の立体構造と精密触媒機構"ビタミン. 77(5・6). 297-312 (2003)
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[Publications] Shibata, N.: "Structural Rationalization for the Lack of Stereospecificity in Coenzyme B12-dependent Diol Dehydratase"J.Biol.Chem.. 278(25). 22717-22725 (2003)
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[Publications] Toraya, T.: "Novel Pathway for Utilization of Cyclopropanecarboxylate by Rhodococcus rhodochrous"Appl.Environ.Microbiol.. 70(1). 224-228 (2004)
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[Publications] 虎谷哲夫: "廣川タンパク質化学 第4巻 酵素"廣川書店. 12,17 (2003,2004)