2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13125206
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
三浦 洌 熊本大学, 医学部, 教授 (70093466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 春彦 熊本大学, 医学部, 助手 (80264290)
瀬戸山 千秋 熊本大学, 医学部, 助教授 (60040250)
二科 安三 熊本大学, 医学部, 助教授 (50112553)
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Keywords | フラビン酵素 / アシルCoAデヒドロゲナーゼ / 結晶構造解析 / 分子軌道計算 / 電荷移動相互作用 / 遷移状態アナログ / 人工フラビン / 3-チアオクタノイルCoA |
Research Abstract |
【人工フラビンを用いたアシルCoAデヒドロゲナーゼによる新規反応の開発】 中鎖アシルCoAデヒドロゲナーゼ(MCAD)はFAD依存性のフラビン酵素である.FADのフラビン部分を人工フラビンに置き換えることによって,本来MCADが触媒し得ないような基質を触媒する新規な能力を持たせることに成功した.用いた人工フラビンは,フラビン環の7-位,8-位を,種々の置換基(8-CN,8-Cl,7,8-Cl_2,8-NH_2,8-OCH_3)に置き換えたものである.特に,8-CN-FADで再構成したMCADは,プロピオニルCoA,3-ケトオクタノイルCoAを脱水素するという,本来MCADが持っていなかった新規の反応性を示し,MCADの新規な反応を開発することに成功した. 【MCAD-3-チアオクタノイルCoA複合体の結晶構造解析と分子軌道計算による電荷移動相互作用の検証】 MCADの基質アナログである3-チアオクタノイルCoA(3S-C8-CoA)との複合体の結晶構造解析に成功した.3S-C8-CoAは,基質のアシル鎖のβ位のメチレンがイオウ原子で置き換わっているためにMCADとの複合体は7遷移状態アナログとみなされる状態で留まっている.したがって,この複合体の精密構造解析は,MCADの遷移状態の情報を提供する.MCAD-3S-C8-CoA複合体の結晶構造から,この複合体における3S-C8-CoAとフラビン環との相互配置が判明した.それによると,3S-C8-CoAのイオウ原子は,フラビンのN(5)位に接近しており,本来の基質との反応においてβヒドリドがフラビンのN(5)に移動することを構造的に確認することができた.3S-C8-CoAとフラビンの相互配置をもとに,密度汎関数分子軌道計算をおこなった結果,この複合体において,アニオン型3S-C8-CoAからフラビンへの電荷移動が確認され,従来からいわれていた電荷移動相互作用の理論的な根拠を得ることができた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Chiaki Setoyama: "Effects of hydrogen bonds in association with flavin and substrate in flavoenzyme D-amino acid oxidase"Journal of Biochemistry. 131. 59-69 (2002)
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[Publications] Yoshitaka Nakajima: "Three-dimensional structure of the flavoenzyme acyl-CoA oxidase-II from rat liver, the peroxisomal counterpart of mitochondrial acyl-CoA dehydrogenase"Journal of Biochemistry. 131. 365-374 (2002)
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[Publications] 鏡山博行: "補酵素作用のダイナミズム-補酵素の機能を支えるアポタンパク質の働き-"ビタミン. 76・5-6. (2002)
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[Publications] Yoshitaka Nakajima: "Structural comparison of acyl-CoA oxidase-II from rat liver with medium-chain acyl-CoA dehydrogenase from pig liver"Flavins and Flavoproteins 2002 (S.Chapman, R.Perham, N.Scrutton, eds.) Rudolf Weber Agency for Scientific Publications, Berlin. 57-62 (2002)