2002 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能分光法によるラジカル錯体の検出と構造および分子間ポテンシャルの決定
Project/Area Number |
13127101
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40106159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 康子 独立行政法人, 通信総合研究所, 主任研究官 (60281630)
住吉 吉英 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50291331)
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Keywords | 高分解能分光法 / フリーラジカル / 大気反応 / 分子錯体 / 分子間ポテンシャル |
Research Abstract |
大気中での各種の化学反応や、地球大気の熱収支に対して、様々な分子錯体の存在が無視できない寄与をしているのではないかという主張に対して、我々は、フーリエ変換マイクロ波分光法などの高分解能分光の手法を通じてそれら分子錯体の実験室での検出を目指すとともに、実際の大気中での存在量の推定、大気中での観測の可能性を考察する。今年度は、大気でのリモートセンシングに用いられるミリ波領域のデータを収集するための2重共鳴分光装置を整備し、実際の観測ができることを確認した。この装置を用いて、紫外線の弱い極域でのオゾン層破壊に重要な寄与をしているとされているClOOおよびBrOOラジカルの高分解能スペクトルを初めて観測し、これらのラジカルが異常に弱いCl-O、Br-O結合を持つことを実験的に確認した。また、そのポテンシャルを精密に決定することにより、特にCl+O_2<->ClOOの平衡定数を見積もり、既報の実験値を確認した。ミリ波領域の遷移を観測できたことから、これらのラジカルを大気中で観測する可能性ができ、オゾン層破壊のメカニズムの実証的な研究の進展が期待できる。 また、対流圏の大気反応において重要な寄与をすると考えられる有機過酸化ラジカルとして、CH_3OOの高分解能スペクトルを初めて観測した。これも分光学的データのきわめて限られていたラジカル種である。今後このラジカルの詳細が明らかになることにより、大気反応での役割が解明できると期待できる成果である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Nakajima: "Laser induced fluorescence spectroscopy of the HC_6S radical"Chem. Phys. Lett.. 355. 116-122 (2002)
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[Publications] M.Nakajima: "Vibronic structure of CCS in the A^^^^3Π : state studied by laser-induced fluorescence spectroscopy"J. Chem. Phys.. 117. 9327-9338 (2002)
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[Publications] K.Seki: "Pure rotational spectra of the Ar-HN_2^+ and Kr-HN_2^+ ionic complexes"J. Chem. Phys.. 117. 9750-9757 (2002)
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[Publications] A.Mizoguchi: "Microscopic hydration of the sodium chloride ion pair"J. Am. Chem. Soc.. 125. 1716-1717 (2003)
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[Publications] Y.Sumiyoshi: "Intramolecular potential energy surface of Ar-SH(^2Пi) determined by a simultaneous analysis of Ar-SH/D studied by FTMW spectroscopy"J. Mol. Spectrosc. (印刷中). (2003)
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[Publications] M.Nakajima: "Pure rotational spectrum of the NCCS radical studied by Fourier-transform microwave spectroscopy"J. Chem. Phys.. (印刷中). (2003)