2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13128208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 十志和 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古荘 義雄 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00281270)
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Keywords | ナノメートルサイズ / らせん / ロタキサン / レドックス / フェロセン / 光学活性 / 酸化還元電位 / 不斉触媒 |
Research Abstract |
らせん分子とロタキサン分子の構造精密制御による選択的なレドックスシステムの構築を目的として研究を行い、ナノメートルサイズの反応場の制御に関し、以下の成果を得た。 1.フェロセン構造を軸末端に持つロタキサンの合成と酸化還元挙動 ジベンゾ-24-クラウン-8を輪成分、末端に嵩高いグループとアルコール基を持つ鎖状二級アンモニウム塩を軸成分として擬ロタキサンを形成させ、そのアルコール末端をフェロセンカルボン酸無水物でアシル化し、ロタキサン1を42%の収率で合成した。このロタキサンのアンモニウム窒素上をアセチル化し、塩構造を持たないロタキサン2を収率77%で合成した。これらのロタキサンの酸化還元電位をサイクリックボルタンメトリーにより測定したところ、輪の動きが制限されているロタキサン1の半波電位は、輪の動きが自由なロタキサン2よりも75mVも高かった。また、ロタキサン2の輪コンポーネントをはずした鎖状分子はロタキサン1とほぼ同様の酸化還元電位を示した。この結果は、輪が自由に動けるロタキサン2ではクラウンエーテルからフェロセンへ電子が供与されることによってフェロセニウムイオンへの酸化が促進されたためと考えられ、電気化学的な酸化還元によりロタキサンのスイッチングの可能性が示唆された。 2.光学活性ビナフチルーサレン複合型ポリマーの設計と不斉合成への応用 光学活性な3,3'-diformyl-1,1'-binaphthol誘導体をdiamineと反応させ、ポリShiff塩基を合成した後、酢酸亜鉛と反応させることによりビナフチルーサレン複合型ポリマーを合成した。diamineと金属酢酸塩を種々組み合わせていくつかのビナフチルーサレン複合型ポリマーを合成した。これらのポリマーの構造は、IR、NMR、UV、CD、並びにGPCにより決定した。特に、IRスペクトルにおいて、炭素-窒素二重結合の変化から、サレン錯体の生成、すなわちポリマー構造を確認した。このポリマーをジエチル亜鉛のアルデヒドへの付加反応における触媒、オレフィン類のシクロプロパン化反応あるいはエポキシ化反応の触媒として用いて、その不斉触媒能を検討した。その結果、特にジエチル亜鉛の付加反応において95%eeが達成され、ナノメートルサイズの不斉触媒空間が精密に制御されたことが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshio Furusho: "A Rational Design of Helices:Absolute Helix…"Chem.Lett.. 2001. 1020-1021 (2001)
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[Publications] Yoshio Furusho: "Synthesis and Structure of Poly(binaphthyl-salen…"Chirality. (印刷中). (2002)
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[Publications] 木原伸浩: "水素結合に基づくインターロックト化合物の合成…"有機合成化学協会誌. 59. 206-218 (2001)
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[Publications] 高田十志和: "らせんの自在合成とらせん不斉場の活用"JASCO REPORT. 43. (2001)
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[Publications] 高田十志和: "インターロックト化合物の合成によるナノ材料の…"高分子. 50. 770-773 (2001)