2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13128208
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高田 十志和 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (40179445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古荘 義雄 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (00281270)
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Keywords | らせん / ビナフチル / 金属サレン錯体 / 不斉エポキシ化触媒 / ロタキサン / 分子スイッチ / フェロセン / 光誘起電子移動 |
Research Abstract |
本年度は、(1)ロタキサン系におけるナノメートルサイズの反応場の構築、(2)らせん系におけるナノメートルサイズの反応場の構築とその応用を目標として研究を進めた。その結果、非常に注目すべき成果を得た。 (1)フェロセン構造を軸の末端に持ち、クラウンエーテルを輪成分とするロタキサンにおいて、フェロセン部位の酸化電位を測定すると、軸上にアンモニウム塩との水素結合で並進運動の制限されたクラウンエーテルをもつロタキサンでは、アンモニウム窒素をアセチル化して中和し、自由な運動可能なクラウンエーテルを持つロタキサンよりも、約80mVの酸化電位が大きくなることが認められた。この関係は軸の長さに依存しないことから、軸末端のフェロセン部位の酸化の際にクラウンエーテルが軸末端まで移動できるロタキサンでは酸化電位が低下することが示された。この結果は、ロタキサンスイッチにおける新しいスイッチング制御システムを提供すると共に、軸末端を活用する有用なスイッチング方法を示した。 一方、ポルフィリン、トリアリールアミン、フェロセン等のドナーユニットとフラーレン(C60)ユニットをロタキサンの環上と軸上に持つ分子における光誘起電子移動による電荷分離を検討したところ、非常に長い電荷分離状態の寿命が観測され、空間結合を介するユニットの配置の重要性とそれを実現するためのロタキサンプラットホームの意義を明らかにした。 (2)らせんの溝(groove)を反応場とする新しい不斉合成反応を開発した。キラルなねじれユニットとしてのビナフチル基と、平面連結部としての金属サレン錯体構造を持つ人工らせん分子を触媒に用いてオレフィンの酸化反応を検討した結果、ジヒドロナフタレンの不斉エポキシ化において光学活性なエポキシドを与え、らせんの溝が有効な反応場として機能していることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tomoya Oku 他: "First Poly[3]rotaxane Synthesized through Non-Covalent Step Growth Polymerization of Homoditopic Dumbbell and Macrocycle Utilizing Reversible Thiol-Disulfide Interchange Reaction"J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed. 41・1. 119-123 (2003)
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[Publications] Nobuhiro Watanabe 他: "Photoinduced Intra-rotaxane Electron Transfer between Zinc Porphyrins and Fullerren[C60] in Benzonitrile"Angew. Chem. Int. Ed. 42・6. 681-683 (2003)
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[Publications] Yoshio Furusho 他: "Dynamic Covalent Approach to [2]-and [3]Rotaxanes by Utilizing the Reversible Thiol-Disulfide Interchange Reaction"Chem. Eur. J. (印刷中). (2003)
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[Publications] 古荘義雄, 高田十志和: "「硬軟可変な」共有結合による超分子の構築-イミン結合を用いた合成"化学. 57・4. 72-73 (2002)
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[Publications] 高田十志和: "インターロック構造を鍵とする材料"未来材料. 2・11. 10-15 (2002)